2014 年 22 巻 p. 143-154
本研究の目的は, テコンドーの前回し蹴りを三次元動作分析することで, テコンドー特有の 「速い」 かつ 「早い」 蹴り動作について知見を得ることであった. そこで, 蹴り脚のキックスピードに対する下胴および蹴り脚各関節の運動におけるキネマティクス的貢献を算出した. その結果, インパクト時の膝関節伸展動作による貢献はキックスピードの約60%を占めていた. 上位群は下胴左回旋, 股関節屈曲角速度を適切なタイミングで大きくすることにより, 膝関節伸展に作用する膝関節力を生成していた. したがって, 膝関節伸展動作による貢献を増加させ, 「速い」 かつ 「早い」 蹴り動作を行うために, 下胴および股関節の動きが重要であると推察された.