ここれまで骨格筋は,収縮することで骨格に動きを与え,動作を生み運動を可能にさせる器官と認識されてきた.しかし最近になって,骨格筋の収縮は動き以外の生理機能ともリンクしていることが明らかになり,生体で担う役割がこれまでの想像を超えて広範にわたることが認識されつある.具体的には,糖代謝を含めた全身の代謝調節,分泌物を介した多臓器連関,強力な再生能力による自己再構築など,多岐にわたる.また,おかれた環境に合わせて自身の性質や構造を変える可塑性に富み,それが個体の健康や疾病に対して正にも負にも働きうる.それら骨格筋の多様な性質を紹介する.