主催: NPO法人バイオフィリアリハビリテーション学会, 共催, NPO法人高齢市民が活躍するための社会技術研究会, 後援, 厚生労働省, 神奈川県, 藤沢市, 藤沢市教育委員会, 藤沢市社会福祉協議会, 慶應義塾大学環境情報学部, 公益財団法人テクノエイド協会, 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会, 公益社団法人全国老人保健施設協会, 社団法人日本理学療法士協会, 社団法人日本作業療法士協会, 日本リハビリテーション工学協会, 日本生活支援工学会, 日本経済新聞社
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高齢者の死因として肺炎は大きな割合を占め,その原因の一つとして咳嗽力低下が挙げられる.近年肥満者が増加傾向にあり,また肥満は呼吸機能に影響を与えるとされる.そこで,腹囲90cm以上を肥満群,以下を非肥満群とし両群の咳嗽力(CPF)と姿勢の影響を比較検討した.両群ともにCPFは背臥位と比較し有意に端座位が高値を示し,姿勢の影響を受けることが確認された.両群間での比較では両姿勢におけるCPFに有意な差はなかった.しかし,肥満群においてのみΔCPF(端座位を基準とした時の背臥位時の変化率)が有意に増加し,腹囲との強い相関を認めた.背臥位では腹部内臓器が押し上げられ,横隔膜への抵抗が増加するとされているが,肥満群ではその影響を強く受ける可能性が示唆された.