2022 年 62 巻 2 号 p. 144-145
関東支部では,役員の任期が2年です.前回,関東支部が本誌の「支部だより」に活動報告を掲載したのは,ほぼ1年前の61巻第1号ですので,その間に,役員の交代がありました.はじめに,関東支部の役員を紹介します.
【支部長】
高橋 浩(群馬大学大学院理工学府)
【幹事】
池口雅道(創価大学理工学部共生創造理工学科)
諏訪牧子(青山学院大学理工学部化学・生命科学科)
【会計】
坂内博子(早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科)
【会計幹事】
大澤研二(群馬大学名誉教授)
2021-2022年度は,このような体制で運営しています.どうぞ,よろしくお願いします.
関東支部の活動の中で最も重要なものが支部会です.年1回開催される研究発表と,その後に行われる懇親会のことを関東支部では,「支部会」と呼んでいます.昨年(2021年)の3月2-3日に,創価大学の池口雅道さんを世話人としてオンラインで開催しました.支部のホームページには,創価大学のキャンパスの写真を掲載し現地開催を当初予定していました.しかし,新型コロナ感染症のため2020年12月の段階でオンライン開催と決定しました.オンラインでしたが,許されるならば本当は,現地開催したかったとの思いを込めて,創価大学の写真を背景にしたホームページのデザイン等は敢えて変更せずそのまま残しました.また,発表の合間の休憩時間にZoomの共有画面上に映し出したものも,創価大学のキャンパスの写真です.

オンライン開催した第10回関東支部会の休憩時間にZoomの共有画面に映し出した創価大学の正門の写真
オンライン開催ですので,その利点を生かそうと,「遠隔地からの参加やスケジュールの合間での参加が可能なオンラインの特性を活かして,多くの方のご参加をお待ちしております.また,生物物理学に関心のある方であれば,学会員でなくても発表・参加ができます」と文言を生物物理学会のニュースに掲載して頂き,宣伝しました.この宣伝のおかげもあって,発表総数54件と過去最高の件数となりました.東北地区からの発表も2件ありました.さらに,これまで関東支部会では,ほとんどなかった大学や公的研究機関に属さない民間の研究者からの発表も1件ありました.
日本語の発表が大半ですが,留学生の発表の一部は,英語でなされました.新型コロナウイルスに関係する最新の話題や,量子アニーリング技術といった私自身は全く知らなかった新手法を用いた研究も発表され,熱い討論が展開されました.その年の年会自体も,Zoomを使ったオンライン開催であったこと,また,新型コロナ発生から約1年経過し,大学の講義等でもオンラインが当たり前となっていたためか,発表者,座長,質問者ともZoomの操作には全く問題は起こりませんでした.このように会がスムーズに進行したことも,質疑応答を活発化させるのに,役立ったと思われます.まずまずの数の質問が学生からもありましたが,今後はもっと多くの学生が,積極的に質問をしてくることを望みます.
この文章を書いている私が,支部長として選出されたのは,この第10回の支部会でした.支部創立10周年という記念の年の支部会であったにもかかわらず,特別なイベントがなかったことに,今更ながら気づきました.急遽オンライン開催になったこともあり,支部会を開くだけでも大変であったので,10周年記念のイベントを企画するのは難しい状況であったと理解しています.
第11回の支部会は,東京農工大学の黒田裕さんを世話人として,2022年3月に開催すると,第10回の支部会総会でアナウンスされました.この時点では,世話人の黒田さんも私も,もう新型コロナ用のRNAワクチンも開発されたし,流石に1年後にはコロナ禍は終息し,何の問題もなく,東京農工大学のキャンパスでリアルの人を集めて,対面での研究発表会と懇親会を開催できると,何の根拠もなく信じていました.2021年の12月初め頃までは,新規の感染者の数も大分少なくなっており,現地開催は余裕でできるものと思っていました.全く,甘い見積もりでした.年が明けた1月からのオミクロン株による第6波の感染状況は,皆さまも良くご存知と通りです.結局2年連続のオンライン開催に切り替える結果となりました.
今回もまた,オンライン開催ですので,関東地区に限らず,誰でも参加可能とアナウンスして頂きました.この記事が掲載される頃には,支部会は終了していますが,多数の参加者を得て有意義な支部会になっているものと期待しています.
正式には第11回の支部会時に開催される総会での承認が必要ですが,次の第12回の支部会は,第11回に引き続いて黒田裕さんが世話人となって,今度こそ現地開催できるものと信じて,再挑戦の意味も込めて2023年の3月頃に東京農工大学で開催する予定でいます.
支部会をオンラインで開催することに関連して,参加資格をどうするかが,少し議論になっています.支部だよりは活動報告がメインなので,相応しい話題かわかりませんが,この点について,この場で少し書くことにします.
関東支部は,生物物理学会年会の使用言語が,英語となった後,日本語での口頭発表の機会を持ちたいとの要求から研究発表会を主催する組織を作ることが契機となって誕生しています.日本語で研究発表会の場を設けることのメリットの1つとしては,日本語を母国語とする学生への教育的効果が挙げられます.生物物理学会の年会より敷居の低い,ある種「入門的な」研究発表の場を提供するという意義も,関東支部会にはあると,我々は考えています.そして,「入門的な」支部会を体験してもらうことで,学会への入会を促すことができるのではないかと期待しているのです.
そのため,支部会が始まった最初の頃より,参加資格を「生物物理学会員」に限らず,「生物物理学会に興味があり,入会を考えている人」も参加可能としています.後者は,本人の心持ち次第なので,客観的判断基準はなく,事実上誰でも参加資格を持っていることになります.
さらに,オンライン開催のメリットを生かすために,オンラインとなった第10および11回支部会では,「誰でも参加できます」に近い形で積極的にアナウンスすることにしました.これにより,支部会の参加者は以前より急増し,先にも書いたように関東地区以外からの参加者による発表も第10回では実際ありました.
参加する手軽さ,敷居を下げるという意味ではオンライン方式は強力なものです.問題となった点は,敷居を際限なく下げて良いかという点です.
現地開催の場合では,会場費等のため,生物物理学会年会の参加費から比べると大分安いですが,これまで支部会の学生以外の参加費は無料でありませんでした.オンライン開催の場合,Zoomの契約費や学生へのアルバイト代等のコストがかかりますが,学会本部からの活動補助金である支部費によって十分にカバーできるため,第10回および第11回の支部会は参加費を無料としました.これも参加者急増の要因の1つです.
学生の場合,2022年度から年会費は無料となります.手間だけの問題で費用はかからないのであれば,入会手続きをした人のみ参加を許す,つまり,年会に準じて支部会の参加者は学会員限定としてはどうか,との問題提起が起こりました.あまりにも敷居を低くし,気軽に簡単に発表できるようにすると,研究発表のレベルを維持できなくなる恐れを心配する声もあるからです.オンラインにより,参加費無料で会場に移動する交通費等もかからない,そして誰でも参加可能となると,確かに,問題が起こらないとも限りません.支部会の参加資格を今後どうするかの最終結論は達していませんが,基本的には,生物物理学に興味を持った人を,広く受け入れるというオープンな姿勢は崩さない方針です.長い目で見れば,クローズにするよりオープンにする方が,学会員の増加に貢献することになると信じています.