2つの物体が接触する固体の変形に関する理論.付着力(表面エネルギー)や遠隔相互作用を無視した球と球の接触弾性理論はHertzモデルと呼ばれる.(160ページ)(岡嶋)
ある時刻の応力とひずみが,それまでの時刻の各微小時間ステップにおける微小な応力とひずみの履歴の重ね合わせに等しいとする原理.(160ページ)(岡嶋)
病原性細菌が持つタンパク質分泌装置の一種で,エフェクターと呼ばれる細菌感染に必要な病原性因子タンパク質群を宿主の細胞内に直接注入する,注射器の形をした分泌装置.細菌感染に重要な役割を果たす.(166ページ)(南野ら)
ある遺伝子が完全に機能不全に陥った遺伝子欠損株から単離された部分的に機能が回復した復帰変異体.ある遺伝子が機能できない状態でも機能復帰変異により機能発現ネットワーク回路が迂回できる.(166ページ)(南野ら)
細菌集団と細菌集団が分泌した細胞外マトリックス成分によって構成される非常に強固な3次元構造体.バイオフィルムは抗生物質や免疫に対する耐性が著しく高いため,バイオフィルムに関連した感染症が増大.(168ページ)(南野ら)
全原子分子動力学シミュレーションとも言う.物質を構成する全ての原子に対してニュートンの運動方程式を解き,それらの軌跡を求める計算手法.脂質分子がどのような振る舞いをしているのか予測する際に非常に有用な解析手法の一つ.(172ページ)(西村)
粘弾性物質の動的粘弾性特性を定量的に評価するために,応力とひずみの位相差を複素弾性率として表現した際,複素弾性率の実数部を「貯蔵弾性率」,虚数部を「損失弾性率」という.(175ページ)(百武)
デボラ数とは,物質の緩和時間を観察時間で割った値として定義され,レオロジーの分野で物質の流動性を表す無次元量である.デボラ数が小さければ粘性的挙動が強く表れ,物質の状態は液体に近く,大きければ弾性的挙動が強く表れ,物質の状態は固体に近い.(176ページ)(百武)
DNA分子の二重らせん構造を単位とする数十nmサイズの人工2D/3Dナノ構造.数千bpの一本鎖DNA分子に対して,相補的な塩基配列をもつ短い一本鎖DNA多数を設計し自己集合させる.DNAナノテクノロジーの中核技術.(179ページ)(岩渕ら)
流体中で移動する球形微粒子への抗力を表す関係式.その大きさはF = 6πrηvと表せる(rは剛体球の半径,ηは流体の粘性率,vは球の速度).その有効性は粒子の運動によって乱流が発生しない場合に限られる.(179ページ)(岩渕ら)
1塩基あたりの精度が低いロングリードの配列に精度が高いショートリードの配列をマッピングし,そのコンセンサスから正しい塩基に補正する手法.(181ページ)(荒川)
遺伝子重複によって機能分化した相同遺伝子.(181ページ)(荒川)
整備されたゲノムやトランスクリプトーム配列で,その後の比較解析や各種オミクス解析においてマッピングなどの基準になる配列.(181ページ)(荒川)
リン脂質が自身の炭化水素鎖を互いに向い合せる形で形成した二分子膜状の分子集合体.外側の水相に接する層を外葉(outer leaflet),内側の水相に接する層を内葉(inner leaflet)と呼ぶ.(187ページ)(杉山)
ダイヤモンド中に窒素と空孔が近接して存在する際に形成される.室温においてカラーセンタの中で最も高い磁気感度を有する.(190ページ)(石綿)
高感度磁気センサを標的核スピンに対して10 nm以下の領域に形成することで統計偏極から核磁気共鳴を計測する手法.(190ページ)(石綿)