Seibutsu Butsuri
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2022 Volume 62 Issue 5 Pages 312-313

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はじめに

生物物理学会の中国四国支部は,中国地方の5県(岡山,島根,鳥取,広島,山口)と,四国地方の4県(愛媛,香川,高知,徳島)の計9県から構成されています(図1).総面積・総人口とも,九州地方と概ね同程度の規模であり,それほど大きな地域ではありませんが,間には瀬戸内海が存在するため,その移動に長時間(5時間以上)を要する場合があります.実際に,某ウェブサイトの路線検索では,移動に際し,羽田空港経由が推奨されることがあります.このような地理的なハンデキャップがありながらも,昨年まで12回にわたり,各県ご所属の先生方の持ち回りで,ほぼ毎年支部例会が開催されてきました.ここでは,第13回支部例会(オンライン)の様子をご報告させていただきます.

図1

中国・四国地方の地図

支部大会の準備

第13回支部例会は,岡山地区に所属する私(須藤雄気)を実行委員長とし,同じく小島慧一博士,安井典久博士の2名の委員を加えた計3名の実行委員で行うこととなりました.岡山地区の主催は,平成25年の第5回大会(実行委員長:成瀬恵治博士)以来9年ぶりとなります.開催をお引き受けした当初は,岡山駅近くで交通の便が良く,感染症対策も考慮して,岡山国際交流センターで実施すべく準備を重ねてきました.しかしながら,新型コロナウイルス感染症の終息は見通せず,岡山大学での開催,さらにはハイブリッド開催と紆余曲折を経て,最終的には支部長の松木均博士(徳島大学)ともご相談の上,オンラインで行うことといたしました.

支部活動の大きな役割は,学会の裾野を拡げることだと考えています.そこで,今年度の大会では,これまでの一般発表と若手発表賞候補者講演に加え,未完成な結果でも発表できる「3分トーク」を新設いたしました.また,オンラインの利点を生かし,学会のメーリングリストやホームページを活用させていただきながら,全国からの参加・発表を募集いたしました.その結果,16件の一般発表,8件の若手発表賞,7件の3分トークの発表申し込みと,関東・中部地方を含む47名の参加者登録をいただきました.このなかには,生物物理学会非会員の方の登録も含みます.一般発表の座長は,分野や地域性を考え,後藤優樹博士(徳島大学),田所高志博士(山口東京理科大学),安田恭大博士(広島大学)にお願いし,快くお引き受けいただきました.

支部大会の開催

当日(2022年5月28日)は,学会からお借りしたZoomアカウントを用い,9時から支部会を開始いたしました(図2).はじめに若手発表賞(発表12分+質疑応答3分)の口頭発表(英語)を行い,その後「3分トーク」の発表(質疑応答無し)を行いました.午後からは,一般発表(発表11分+質疑応答3分)を行いました.生物物理学会らしく,幅広い対象(分子・組織・個体)の生命現象を多様な手法(理論・実験)で明らかにしようとする発表であり,「3分トーク」も含めてどの発表もレベルの高いものでした.このことは,質疑応答が大変活発であったことからも示されます.

図2

支部大会参加者の集合写真(一部)

若手発表賞

中国四国支部大会では,若手研究者・大学院生をエンカレッジすることを目的として,平成28年の第8回大会から若手発表賞を設けています.その後,発表者のレベルの高さと応募数の増加に対応するため,令和元年の第11回大会から,上位2件にそれぞれ最優秀発表賞と優秀発表賞を授与することにいたしました.審査体制は支部大会ごとに若干異なりますが,今回は助教以上全員に2票を割り当て,得票の上位2名を表彰することにいたしました.開票の結果,最優秀発表賞は,恒石泰地さん(岡山大学)(図3),優秀発表賞は,小本哲史さん(広島大学)(図4)に授与されることになりました.以下に,お二人からのコメントを付記いたします.

図3

恒石泰地さん(右)と小島慧一助教(左)

図4

小本哲史さん

・恒石泰地さん(岡山大学)

「Development of light-induced disruptive liposome (LiDL) with a light-driven inward proton pump rhodopsin RmXeR」

〈コメント〉この度,若手最優秀発表賞を受賞させていただきました,恒石泰地です.このような名誉ある賞をいただき大変光栄です.今後もこの賞に恥じぬよう研究活動に精進したいと考えております.

・小本哲史さん(広島大学)

「Epigenetic-structural changes in X chromosomes promote Xic pairing during early differentiation from mouse embryonic stem cells」

〈コメント〉評価していただいた審査員の皆様,並びにご指導いただいた粟津先生に,この場を借りてお礼申し上げます.これを励みに,より一層研究に打ち込みたいと思います.

なお,お二人以外の発表者のほとんどに1票以上の投票があったことを付記いたします.惜しくも受賞に届かなかった方々の来年度以降の再挑戦を期待しています.

おわりに

今大会も昨年度に引き続きオンラインでの開催となりましたが,参加者・発表者のオンラインでの操作や対応はスムーズで,大きな問題点無く会を進めることができました.先にあげました実行委員・座長の皆様をはじめ,ご参加いただいた全ての方々に,この場をお借りしてあらためて感謝いたします.

一方で,対面での支部会では開催されてきた懇親会は,今年度も開催できませんでした.オンラインのデメリットとして,新たな出会いを作ることが難しいことがあげられます.いわずもがな,生物物理学会は融合を是とした学会であり,出会いの場をどのように作るのかは今後の課題であると思います.なお,来年度の支部大会のご担当は鳥取地区となり,鳥取大学の溝端知宏博士のお世話で開催される予定です.皆様のご参加をお待ちしております.

 
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