生物物理
Online ISSN : 1347-4219
Print ISSN : 0582-4052
ISSN-L : 0582-4052
談話室
Let’s Rock Out Biophysics in IUPAB2024 Kyoto!
野地 博行
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2023 年 63 巻 6 号 p. 334-335

詳細

1.  IUPAB2024基本情報

2024年度開催予定の第62回日本生物物理学会年会は,国際純粋・応用生物物理学連合(IUPAB = International Union for Pure and Applied Biophysics)の21th IUPAB Congressとの合同会議IUPAB2024として開催します.これまでの年会は英語で開催しており各国からの参加者が集っていましたが,IUPAB2024はかつてない規模で国際色豊かな年会となります.日時および開催地は以下の通りです.

日時:2024年6月24日(月)~6月28日(金)

開催地:国立京都国際会館

なお,例年実施している市民講演会は6月29日(土)に京都大学で開催予定です.

2.  IUPAB2024開催の目的

日本生物物理学会年会とIUPAB Congressとの合同開催は1978年の京都大会に続き2回目です.1978年会議は,国内の生物物理学研究者が世界の研究者と交流する大きな契機となりました.今回,46年を経て2回目の合同開催をする目的は「世界の優秀人材層を日本に引きつける」ことにあります.すなわち,第1回合同大会が「世界につながる」ことを主眼に置いていたことに対し,今回は「海外人材を日本に惹きつける」ことを主眼としています.

3.  Rocking out Biophysics!

‘Rocking out Biophysics!’には「~をゆさぶる」という意味があります.本会議のテーマには「既存概念をゆるがし,新しい生物物理を生み出そう」という思いを込めました.会議の顔となる基調講演は,私たちがRocking outしていると考えるDavid Baker氏,Feng Zhang氏,安藤敏夫氏の3名の方々に依頼しました.D. Baker氏はタンパク質構造予測プログラムRosettaの開発にはじまり,タンパク質設計学で他の追随を許さない業績をあげています.F. Zhang氏は,CRISPR-Cas9を用いた真核生物におけるゲノム編集技術を世界に先駆けて達成するなど革新的技術を多数開発しています.そして,安藤敏夫氏は日本の生物物理学が誇る高速原子間力顕微鏡を世界で初めて開発し,生体分子・生体システムのダイナミクスを次々と明らかにする研究で世界をリードしています.彼らに象徴される新概念・新技術をIUPAB2024から発信していきます.

図1

IUPAB2024のコンセプトデザイン

‘Rocking out Biophysics!’には,もう一つ「~にノリノリになる」という意味もあります.学会の楽しみの一つは,非日常的空間で存分にサイエンスを楽しむという点です.日本生物物理学会の年会は,自由闊達で活気溢れる雰囲気で毎回大好評です.この自由でオープンな文化は,日本生物物理学会のDNAであり,海外からの優秀研究者を惹きつける装置です.IUPAB2024は,この自由闊達な雰囲気をさらにパワーアップし,シニアから若手,そしてアカデミアから産業界まで,参加する皆さんが楽しめるいろいろな仕掛けを計画しています.

4.  国際化戦略とIUPAB2024

IUPAB2024開催は,日本生物物理学会が綿々と紡いできた長期にわたる国際化戦略の集大成です.少子化の流れは研究人材の枯渇につながっており,生物物理学分野も例外ではありません.我々は,国内若手人材の育成を最優先する一方で,海外人材を引き寄せることに長年取り組んでいます.まず,我々は他の学術団体に先駆けて,通常年会の使用言語を英語化しました.現在,全て発表は英語でなされており,中国・韓国・台湾など東アジアを含め国外からの出席者は順調に増加しています.また,日米・日豪・日中・日韓・日印の二国間国際シンポジウムを年会で定期開催し,海外の優秀な研究者と交流する基盤を整備しています.加えて,2022年度より学生会員の会員費を0円とすることで,国内外の若手が参加するハードルを極限まで低減させました.また,我々の学会では英文誌Biophysics and Physicobiologyを2005年から発刊しています.掲載論文数も年々増加しており,本年度IFも取得しました.このように,日本生物物理学会は長期国際化戦略に沿ってさまざまな施策を実行しています.IUPAB2024は,この戦略的国際化の集大成であり,本学会は総力を上げてIUPAB2024を成功させます.

5.  ‘Hands-on training program’

本合同年会のもう一つの目玉は,海外若手研究者を対象としたHands-on training programです.これは,合同年会とは別に,日本の生物物理学研究を代表する研究機関・研究プロジェクトがホストとなり,海外若手研究者に日本の生物物理学を体験してもらう特別プログラムです.さまざまな研究機関の協力をいただき,計六つのとても魅力的なコースを用意しました.それぞれ以下の通りです.

A. Millions of single live cell analysis with the automated trans-scale-scope, AMATERAS(阪大・理研)

B. Visualizing the nanometer world in liquid by Bio-SPMs(金沢大)

C. CHARMM-GUI/GENESIS MD tutorial(理研)

D. DNA nanomachine tutorial(関西大)

E. Exploring multi-cellular mechanics(京大)

F. Real-time single-molecule experiments with optical tweezers(東大)

このプログラムの効果を最大化するために,年会では連動したシンポジウムを設置し,基礎から最先端まで幅広いスペクトルのコンテンツを世界の若手研究者に提供することで,若手研究者を日本に惹きつける仕掛けとしたいと考えています.

6.  共に創る IUPAB2024

以上の通り,日本生物物理学会は,‘Rocking out Biophysics!’というテーマのもと,本学会らしいオープンで自由闊達な議論を醸成し,国内および国外,シニアから若手まで,アカデミアから産業界まで活発な交流を可能とする年会を開催します.一方で,この目的達成のためには,実行委員メンバーや現理事会メンバーだけでの努力では不可能です.生物物理学会を共に形成するメンバー全員の協力が不可欠です.主としてアカデミアに属する会員の皆さんには,是非良質な生物物理学研究を発表してもらい,いつもの自由闊達な議論と交流をIUPAB2024でも再現して欲しいと思います.特に,いつもは日本の年会には参加されていない海外からのメンバーと積極的に交流して欲しいと思います.また,産業界の皆さんにも,将来の生物物理学をつくり上げるために,協賛プログラムだけでなく,会場でも是非学会を盛り上げるべく積極的な参加・交流をお願いしたいと思います.自分たちが所属する学会の将来は,我々自身に委ねられています.是非,共にIUPAB2024を素晴らしい会議としましょう.

それでは京都でLet’s Rock Out Biophysics!

Biographies

野地博行(のじ ひろゆき)

東京大学工学系研究科教授

 
© 2023 by THE BIOPHYSICAL SOCIETY OF JAPAN
feedback
Top