円石藻はハプト植物門に属する単細胞真核藻類であり,炭酸カルシウムでできた円石と呼ばれる円盤状の構造を持つ.海洋の炭素循環を担う植物プランクトンの一種.円石藻の大増殖は白潮(ブルーム)を引き起こし,海洋環境の悪化を招く.(128ページ)(細島ら)
円石藻に感染するフィコドナウイルス科に属する核細胞質性大型DNAウイルス.二本鎖DNAゲノムを持つ巨大ウイルス.円石藻は円石藻ウイルスに感染すると円石を放出・崩壊し,白潮は消失することが知られている.(129ページ)(細島ら)
時間幅の短い光パルスや時間応答の速い光検出器を用いることによって,短寿命分子種や反応中間体の吸収スペクトルを測定する手法である.タンパク質試料では,光受容タンパク質の発色団の状態変化観測にしばしば用いられる.(137ページ)(水谷)
入射光の波長を試料の吸収極大波長に近づけると,電子遷移に関与する原子団のラマン散乱光が増大する.この現象を利用して特定の部位のラマンスペクトルを高感度に観測する手法を共鳴ラマン分光法と呼ぶ.試料の振動スペクトルの測定に主として用いられる.(137ページ)(水谷)
赤外光を試料に照射すると,試料中にある分子の量子状態の遷移によって赤外光の一部が吸収される.この現象を利用して試料の量子状態を観測する手法を赤外吸収分光法と呼ぶ.赤外光の光子エネルギーは主に振動遷移とマッチするので,試料の振動スペクトルの測定に主として用いられる.(137ページ)(水谷)
それ自体には活性がなく,酵素による修飾を受けて初めて活性化される薬物の総称.例えば本稿で紹介した人工ヌクレオシドの5FdUは,チミジンキナーゼによりリン酸化されて初めてチミジル酸合成酵素の阻害活性を発揮し,細胞死を引き起こす.(144ページ)(冨永ら)
生物がある環境下での適応度を下げる代わりに他の環境での適応度を上げることをいう.至適環境で細胞集団の一部が代謝的に不活性な状態にある場合,集団の増殖速度は減少するが薬剤耐性が上昇し,急な薬剤投与などを生き延びられる可能性が高まる.(147ページ)(姫岡)
脳の最外層に位置する組織で,高次機能を制御している.この領域には神経細胞の細胞体,軸索,樹状突起,グリア細胞が含まれ,発生に伴って層構造を発達させる.成体では六層の細胞層から構成されるが,胎生期には以下の領域に分類される(内層から列挙).
・脳室帯(ventricular zone: VZ)
・脳室下帯(subventricular zone: SVZ)
・中間帯(intermediate zone: IZ)
・サブプレート(subplate: SP)
・皮質板(cortical plate: CP)
神経幹細胞は脳室に近いVZで維持されるが,細胞分裂で生み出した未成熟な細胞がSVZおよびIZへと移動しながら形態を変化させた後,SPを越えることで最終分化し,CPを構成する神経細胞に成熟化する.(151ページ)(今村ら)
システムを構成する個々の要素の挙動をモデル化する手法を指す.各要素はそれぞれ固有の特性を持ち,要素間の相互作用によって複雑なダイナミクスが生成される.演繹的な解析が困難なシステムを調べる手法として有用である.Individual-based approach/modelとも呼ばれる.(152ページ)(今村ら)
血管が形成される過程は大きく2つに分けられる.vasculogenesis(脈管形成)は,主に胚発生の初期に,血球系の細胞が分化して血管内皮細胞となり原始血管叢を形成する現象を指す.対してangiogenesis(血管新生)は,血管が伸長し新たな分岐の形成や血管の連結(吻合)によって血管構造を拡張していく現象を指す.(153ページ)(今村ら)
GFPやRFPの一種mAppleの円順列変異体(circular permutation, cp)であるcpGFPやcpmAppleは,そのN末端とC末端が蛍光団近傍に位置する.蛍光センサー開発にしばしば用いられる.(155,156ページ)(那須)
cpGFPとTTHA0766からなる緑色蛍光乳酸センサー.eLACCOシリーズと同じ乳酸結合タンパク質を用いているが,cpGFPの挿入位置が異なっている.(157ページ)(那須)
GFPとLldRからなる緑色蛍光乳酸センサー.iLACCOシリーズと同じ乳酸結合タンパク質を用いているが,cpGFPの代わりにGFPを用いている.(157ページ)(那須)
CFPとLldRからなるシアン色蛍光乳酸センサー.iLACCOシリーズと同じ乳酸結合タンパク質を用いているが,図1とは異なる分子デザインを有している.(157ページ)(那須)
cpYFPとLldRからなる黄色蛍光乳酸センサー.iLACCOシリーズと同じ乳酸結合タンパク質を用いているが,励起光に二波長(420 nm, 485 nm)を用い,それぞれの蛍光強度の比を測定する.(157ページ)(那須)
CFPとYFP,LldRからなる蛍光乳酸センサー.iLACCOシリーズと同じ乳酸結合タンパク質を用いているが,LldRの両端に二つの蛍光タンパクが融合する分子デザインを有している.(157ページ)(那須)
ヒト脳内におけるグリア細胞(神経細胞を取り囲む細胞)の腫瘍から単離された細胞株.(157ページ)(那須)
シグモイド型(S字型)の酵素活性を示すホモオリゴマー酵素の活性を説明するために考え出された分子モデル.同一のサブユニットが対称的に配置され,活性の高いRと活性の低いTの2状態の平衡が仮定される.(162ページ)(有坂)
T型ファージは大腸菌に感染するウイルスで,感染後溶菌によって子ファージが産生される.T型ファージのうち,T2,T4,T6は6本の尾繊維で大腸菌に結合し,尾部が収縮し,頭部に格納されたDNAを菌体内に注入する.(162ページ)(有坂)