生物物理
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2025 年 65 巻 3 号 p. 162

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姉妹染色分体間接着 Sister chromatid cohesion

DNA複製により生じる2本の染色体対(姉妹染色分体)が物理的に接着した状態.紡錘体と染色体の正確な結合を担保し,細胞分裂における染色体分配に不可欠である.リング構造のコヒーシン複合体により形成される.(129ページ)(村山)

トポロジカル結合 Topological DNA entrapment

コヒーシンのリング構造を利用した特殊なDNA結合様式で,DNA鎖をコヒーシンリングの中に通した状態を指す.このトポロジカル結合によって2本の染色分体を束ねることで接着を形成すると考えられている.(130ページ)(村山)

ChIP-seq

特定のタンパク質が結合するゲノム部位を染色体免疫沈降法(Chromatin immune-precipitation; ChIP)を用いて収集し,NGSを用いて読み取ることで,そのタンパクのゲノム結合部位を網羅的に得る手法.(135ページ)(中戸)

RNA-seq

細胞核内に存在するRNA配列を断片化し,NGSを用いて網羅的に読み取ることで,その細胞の遺伝子発現量を網羅的に推定する手法.(135ページ)(中戸)

Hi-C

細胞核内で近接しているゲノム部位ペアを固定・断片化したうえでNGSを用いて網羅的に読み取ることにより,ゲノム立体構造を全ゲノム的に観測する手法.(135ページ)(中戸)

構成的活性化フォーム Constitutive active form

タンパク質や酵素などが常に活性状態を保つようにした状態.例えば酵素であれば,酵素活性を抑制しているタンパク質内のドメインやアミノ酸残基を欠損や置換させ,常に酵素が活性化している状態を作成する.(142ページ)(薮内ら)

オルソステリックリガンド Orthosteric ligand

GPCRの内在性リガンドが結合する細胞外側のポケットに結合することでGPCRの活性を変化させる化合物(orthostericとは「正しい位置」の意).現在,臨床で使用されているGPCR標的薬のほとんどはオルソステリックリガンドである.(145ページ)(今井,嶋田)

アロステリック調節薬 Allosteric modulator

GPCRのオルソステリックリガンド結合部位とは異なる部位に結合することで,GPCRの活性を変化させる化合物(allostericとは「異なる位置」の意).近年,副作用の少ないGPCR標的薬の候補として注目されている.(145ページ)(今井,嶋田)

曇点 Cloud point

液液相分離により液滴が形成および消失する温度.圧力を固定し,温度を徐々に変化させることで決定することができる.(151ページ)(白砂,北原)

Nap

マイコプラズマ・ニューモニエの宿主接着タンパク質複合体の呼称.“けば”という意味.P1アドヘジン複合体とも呼ばれる.(153ページ)(水谷,宮田)

光ピンセット Optical tweezers

近赤外線レーザー光を対物レンズで集光させることで,集光点にマイクロメートルサイズの微小物体を捕捉する装置.(154ページ)(水谷,宮田)

Homology-based predictions

相同性(類似性)に基づいた機能予測.新規の遺伝子やタンパク質の機能を予測する方法.バイオインフォマティクスの手法を用いて,新規タンパク質に類似したアミノ酸配列や構造を持つ,機能が既に解明されているタンパク質が見つけ出される.その類似性に基づいて新規タンパク質が同様の機能を持つことが予測される.(156ページ)(CLIFTON)

Chemoheterotrophic

化学従属栄養性.有機化合物をエネルギー源と炭素源の両方として利用する生物のことを指す.化学栄養性(chemotrophy)とは,エネルギー源として酸化反応を利用することを指し,従属栄養性(heterotrophy)とは,炭素源として有機化合物を利用することを指す.(156ページ)(CLIFTON)

Differential scanning fluorimetry

示差走査蛍光法.タンパク質の熱安定性を測定するために使用されるハイスループットな方法.SYPRO orange等の蛍光色素の存在下でタンパク質が加熱される.タンパク質が変性すると,蛍光色素がタンパク質の疎水性領域に結合し,蛍光が増加する.その変化をリアルタイムPCR装置を用いて測定することができる.(157ページ)(CLIFTON)

 
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