生物物理
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編集後記
編集後記
小島 慧一
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2025 年 65 巻 6 号 p. 346

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私は2011年,修士1年のときに生物物理学会に入会しました.初めて参加した年会(姫路開催)では,あまりにも多様な分野の発表が並び,(当然のことですが)自分の研究分野がその中のほんの一部にすぎないことに驚いたのを,今でも鮮明に覚えています.生物物理の魅力は,さまざまな観点での『ヘテロさ』にあると思います.それは,生物と物理およびそれらの境界領域にとどまらず,新たに立ち上がりつつある学問領域,実験と理論にまたがる多様な技術,そして何より研究者それぞれの多様なモチベーションに表れていると感じます.今回の生物物理誌(第65巻第6号)でも,その精神を強く感じています.対象とする生命現象や分子機構(細胞膜,核酸,イオンチャネル・ポンプなど),解析手法(AFM,一分子計測,量子化学計算,MDシミュレーションなど)にも多様性が見られます.また,「キャリアデザイン談話室」や「シン・私が影響を受けた論文」では,執筆者ご自身の高校から大学院,さらにはその後のご経験や転機(チャンス?),思想,そして影響を受けた書籍などがざっくばらんに紹介されており,学術的な側面だけでなく,人としての歩みや考え方にも触れられる内容になっています.

最近は,研究室の学生さんたちに「研究は面白いものなんだな」という印象を持って卒業してもらえたらと,強く思うようになりました.年会での発表や議論を通じて,学生さんの目の色が変わり,研究に真剣に向き合う姿を見るときに,大きな喜びを感じています.生物物理誌はだれでもアクセスできる電子媒体であり,その対象と波及効果には無限の可能性が秘められています.若い大学生や高校生の皆さんにもぜひ手に取っていただき,どこか一つでも心に響く研究や考え方に出会うきっかけになればうれしく思います.

 
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