抄録
ハゴロモモ(フサジュンサイ) Cabomba caroliniana は,北米大陸南東部と南米原産の沈水植物である.水槽植物として世界各地に持ち込まれ,日本列島でも,本州,九州,四国,北海道に定着している.しかし,被害に係る知見が不足しているために,特定外来生物種ではなく要注意外来生物種となっている.そこでハゴロモモと水鳥類の関係を明らかにするために茨城県清水沼で2011年4月から2012年3月にかけて調査を行なった.その結果,コハクチョウ,オオハクチョウ,オカヨシガモ,ヨシガモ,ヒドリガモ,マガモ,オオバンがハゴロモモの水中茎および沈水葉を採食していることを確認した.今後は水鳥がハゴロモモの分布拡大にどのようにかかわっているか,水鳥による摂食がハゴロモモにどのような影響を与えるのかについての調査が必要である.