2022 年 18 巻 p. A51-A61
全国的な鳥類調査「全国鳥類繁殖分布調査」および「モニタリングサイト1000」のデータをもちい,繁殖期の森林性鳥類の生息分布の指標となる気温(気温指数)を明らかにした.両調査から計算された各種鳥類の気温指数はよく一致しており,信頼性の高い値が得られているものと考えられた.ただし全国鳥類繁殖分布調査の平均気温はやや低い値を示す傾向があった.これはモニタリングサイト1000の北海道の調査地数が少ないことが影響していると考えられ,全国鳥類繁殖分布調査による気温指数を使うのが適切と考えられた.今後,気候変動の影響をモニタリングするのに適した種として,暖かい地域に分布域が偏っている種ではヤマガラ,ヒヨドリ,メジロが,寒い地域に偏っている種ではメボソムシクイとウソなどがあげられた.