Bird Research
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調査データ
日本の各種鳥類の越冬期の分布位置を示す指標値
植田 睦之 奴賀 俊光山﨑 優佑
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J-STAGE Data

2023 年 19 巻 p. R5-R8

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抄録

鳥類への気候変動等の影響を明らかにするために,鳥類種の分布域の平均気温「種の気温指数」が計算され,鳥類の分布の気候変動に対する反応が評価されている.日本でも全国鳥類繁殖分布調査の結果をもとに,繁殖期の種の気温指数が示されている.気候変動の影響は越冬期により顕著に表れるので,越冬期の同様の値を示すことは重要である.2016年1月から2022年2月までのあいだの越冬期の鳥類の分布を明らかにした全国鳥類越冬分布調査のデータを使うことにより,越冬期の日本の鳥類の分布状況を示す指標値が得られると考えられる.ただし,この調査は40kmメッシュという大きなメッシュをつかって分布情報を収集しており,メッシュには低標高の場所から高標高の場所までを含み,気温差が大きいため,気温でそれを示すのは適切でない.日本列島は南西から北東方向に延びているため,緯度と経度を加算した値で,日本列島における分布位置を示すことができる.そこで,この値を集計することで日本の越冬期の各種鳥類の分布状況を示す値「日本産鳥類の越冬分布指標値」を計算した.この情報は鳥類への気候変動の影響を検討する上で有用な情報と考えられるので,ここに公開する.

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