2023 年 19 巻 p. S15-S22
カラスバトColumba janthinaの繁殖地である伊豆諸島八丈小島において,これまでに観察されたカラスバトの巣に関する情報を整理した.八丈小島では,カラスバトの巣は樹上と地上両方で確認され,営巣場所としてメダケPleioblastus simoniiや木の枝、蔓植物の上や,メダケ群落内の地面,岩の隙間などが利用されていた.3つの巣に自動撮影カメラを仕掛けてモニタリングを行ったところ,飼育下と同等の期間育雛が行われることが確認された.給餌のため親が巣に出入りする時間帯は,午前中と夕方にピークがあり,八丈島と八丈小島の間を多数のカラスバトが移動する時間と関連している可能性が示唆された.