現在,繁殖期におけるコルリの確認地点は全国的に減少傾向にあり,クロジは増加傾向にあるとされている.両種は滋賀県の山地帯で繁殖期に局所的に確認されるが,分布状況については不明な部分が多い.そこで,滋賀県全域の山地帯7山系48調査地において,2020年から2023年までの5月から7月のあいだに雄の囀り個体数調査を行なった.その結果,コルリについては5山系23調査地で,クロジについては3山系8調査地で囀りを確認した.コルリは2000年代の記録と比較すると,山系でみた場合に繁殖期の分布に変化はないが,2つの山系で生息地の減少が示唆された.クロジは1990年代より前には繁殖期の記録が無いことから,近年繁殖期の分布は拡大していると考えられる.