Bird Research
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原著論文
東京都本土低地部における繁殖鳥類の1970 年代から2010 年代の40 年間の変化
植田 睦之 佐藤 望
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キーワード: 森林, 都市緑地, 鳥類相, 東京都
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2024 年 20 巻 p. A33-A40

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抄録

1970年代,1990年代,2010年代にそれぞれ実施された東京都鳥類繁殖分布調査のデータを解析して,40年間の東京低地部の鳥類相の変化を記載した.森林性および非森林性の鳥類は共に1970年代から90年代にかけて分布が縮小した種が多かったが,森林性の鳥類は2010年代に分布を拡大し,回復したのに対して,非森林性の鳥類は,回復が見られなかった.森林性の鳥類の種数と森林率には相関があり,森林率も1990年代にかけて減少し,その後増加していることから,森林面積の増減が鳥類相の変化に影響している可能性が考えられた.森林率と生息する森林性の鳥類の種数には正の相関があったが,1970年代と1990年代は,その関係式から予測されるよりも少ない種しか記録されず,2010年代は多く記録されるという違いがあり,樹木の成長が影響している可能性が考えられた.留鳥は1970年代から1990年代に分布の縮小はなく,夏鳥は縮小していた.両者とも2010年代には分布を拡大したが,夏鳥は1970年代の分布を回復させるほどまでは増加していなかった.

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