応用数理
Online ISSN : 2432-1982
暗号学における双対性 : ゴールとシナリオの間には(チュートリアル)
太田 和夫國廣 昇
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 18 巻 2 号 p. 145-152

詳細
抄録

暗号方式の安全性は,方式が設定するゴールGOALと攻撃者に許されたシナリオATKの組み合わせごとに定義される.暗号学において,GOALとATKの間に両立不可能性がメタ帰着を介して存在することを指摘する.次に,メタ帰着を用いた対角線論法によって,方式におけるGOAL-ATK-安全の証明不可能性を示す.縦の自然なメタ帰着を用いて対角線論法を適用して,すべての方式において証明不可能性が成り立つGOAL-ATKの範囲を示す.さらに,横の自然なメタ帰着を考えることで,個別方式に対して有効な「GOAL-ATK図を安全,証明不可能,危険,安全性不明領域に塗り分ける手順」を示す.暗号学において,GOAL-ATK図の領域の塗り分けを「双対性」を用いて「カテゴリー論」風に実行できるのが,興味深い.

著者関連情報
© 2008 一般社団法人 日本応用数理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top