暗号方式の安全性は,方式が設定するゴールGOALと攻撃者に許されたシナリオATKの組み合わせごとに定義される.暗号学において,GOALとATKの間に両立不可能性がメタ帰着を介して存在することを指摘する.次に,メタ帰着を用いた対角線論法によって,方式におけるGOAL-ATK-安全の証明不可能性を示す.縦の自然なメタ帰着を用いて対角線論法を適用して,すべての方式において証明不可能性が成り立つGOAL-ATKの範囲を示す.さらに,横の自然なメタ帰着を考えることで,個別方式に対して有効な「GOAL-ATK図を安全,証明不可能,危険,安全性不明領域に塗り分ける手順」を示す.暗号学において,GOAL-ATK図の領域の塗り分けを「双対性」を用いて「カテゴリー論」風に実行できるのが,興味深い.
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