抄録
小笠原諸島父島より 3 個体(38.35–135.25 mm SL)のクチボソボラ Neomyxus leuciscus の標本が得られた。このうちの 1 個体(38.35 mm SL)は稚魚期にあり、本種の初期形態についての新知見が得られたため、その形態や体色ならびに成長に伴う形態変化の記載を行った。さらに、体長 135.25 mm の個体により、小笠原諸島父島に成熟個体が存在する可能性が示唆された。本島におけるクチボソボラの記録は限られており、今回サイズの異なる複数の標本が得られたことは、本種の生物地理学的特性 を考察するうえで重要であると考えられた。