抄録
日本の国立アカデミーである日本学術会議による1989年以降に出された声明と報告のうち、地球環境と制御工学に関係した文献を調査し概要をまとめた。科学者は社会からの負託に基づき専門の質を担保する責任を有することが、科学者の行動規範の基礎に示されてきた。それに伴い、個別領域における「合理的」な「解決」や「最適化」がしばしば領域外に「負の効果」を引き起こしてきたことが、繰り返し指摘されてきた。これに対する長期的で広域的な俯瞰へ向けた省察が、3部構成への組織再編や「総合工学」として、日本学術会議自体にも表れた。総合工学の中でも制御工学は横断型学術領域の学問として期待される傾向がある。一方で、専門の質を担保する責任のもとで学問領域が短期的や局所的な「解決」や「最適化」に陥っていないか省察する活動や姿勢が制御工学において十分にあったか否かは、今回の調査の限りにおいて、明らかではない。