大阪府立公衆衛生研究所 研究報告
Online ISSN : 2185-4076
ISSN-L : 1343-2923
大阪府における環境および食品中放射能調査(平成23年度報告)
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2012 年 50 巻 p. 30-37

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抄録

平成23 年度の文部科学省委託により実施した大阪府における環境および各種食品中放射能調査結果を報告する。調査は、降水中の全ベータ放射能測定、環境試料(降下物,大気浮遊じん,上水,海水,土壌,海底土)および各種食品試料中のガンマ線放出核種分析(セシウム134,セシウム137,ヨウ素131,カリウム40 等)および空間放射線量率について実施した。 また、平成22 年度末より行っていた福島第1 原子力発電所の事故を受けたモニタリングの強化を引き続き文部科学省の指示により行った。内容は、モニタリングポストの空間放射線量率調査、毎日の上水(蛇口水)および定時降下物のガンマ線核種分析、さらにサーベイメータによる地上1mにおける空間放射線量率調査であった。 平成23 年度の環境および各種食品中の放射能および放射線の測定の結果、降下物、大気浮遊じん、上水原水において福島第1 原子力発電所の事故に由来すると考えられるセシウム134 およびセシウム137 が検出された。しかし、そのレベルは低く、府民への健康影響には全く問題のないレベルであった。また、本年度も上水原水(淀川河川水)から医学利用に由来すると考えられる極微量のヨウ素131 を検出したが、その濃度は約1.0 mBq/L であり、飲食物の摂取制限に関する指標値(300 Bq/kg 以上)から判断して、府民への健康影響には全く問題のないレベルであった。 また、福島第1 原子力発電所の事故に伴うモニタリング強化において、空間放射線量率の異常値や人工放射性物質は検出されなかった。 さらに、ガンマ線核種分析の精度確認のため(財)日本分析センターとのクロスチェック(標準試料法による相互比較分析)を行った結果、ガンマ線核種分析の精度は確保されていることを確認した。

© 2012 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所
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