2019 年 13 巻 1 号 p. 43-52
映像の高解像度化や,SNS 普及によるコンシューマ生成ビデオの急速な増加により,今まで以上に効率的な映像配信システムの構築が求められている.IoT 時代を迎えて様々な形態の映像データが登場し,配信/視聴環境も多様化する中で,映像配信のキー技術である映像圧縮符号化にも新しい視点からの研究が進んでいる.予測と周波数変換といった伝統的な技術を改良することで更なる高圧縮化を図る次世代国際標準VVC への期待が高まり,また一方では,視覚特性を駆使した最適化や,Web 検索の応用,ビッグデータを用いた機械学習の適用など,従来手法にはとらわれない画像生成型の圧縮手法にも注目が集まっている.本稿では,様々な新しい映像符号化研究を体系化した上で,これら新圧縮手法の仕組みを解説するとともに,シミュレーションによる実際の処理画像を示した上で,今後の符号化性能向上の可能性を論じる.