2009 年 2009 巻 10 号 p. 10_21-10_27
パーソナルコンピュータなどの情報通信機器は,動作時に微弱な電磁波を放出し,その信号成分には,ディスプレイ画像などの内部処理情報が含まれている場合がある.こうした漏えい情報を解析されるリスクは,近年の信号計測処理技術の向上とともに高まりつつあり,情報セキュリティの観点からも,その対策法を検討していくことが重要である.情報通信機器からの放射電磁波に起因する情報セキュリティ対策としては,これまで情報通信機器に対して電磁シールドを施す方法やノイズフィルタを設置する方法が提案されているが,対策効果や導入コストの点においていまだ課題が残されている.本論文では,情報通信機器からの放射電磁波に起因する情報セキュリティ問題及び従来の対策法を概観するとともに,漏えい情報を効率的にかく乱する防止信号を生成する手法をベースとした新たな対策技術を紹介する.