電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン
Online ISSN : 2186-0661
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解説論文
ワイヤレス電力伝送と電気自動車により実現される未来の交通社会
居村 岳広堀 洋一
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2013 年 7 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

なぜ我々はガソリン車から電気自動車に乗り換えているのであろうか.そして,この電気自動車が未来の交通社会においてどのような意味を持っているのであろうか.大きな視野で物事を捉えたときに,ガソリン車と電気自動車は,どちらが技術や産業が成熟するときの過渡期を支えた技術となり,どちらが永続的に残っていく技術となるのであろうか.しばらくはガソリン車や電気自動車や燃料電池車などのベストミックスが次世代の技術になるであろうが,軽油とレギュラーとハイオクとEV充電の違いだけでも手一杯の状況において,いずれ,企業側もユーザ側も複雑なシステムに耐えられなくなるのは目に見えている.そして結局のところ,ユーザは利便性が最重要な項目であることは否めない.エネルギーの分配はラスト・ワン・メートルのところで一番厄介になることが本質である.2007年以前は,石油も,電気も大差なく扱いづらいものであった.しかし,2007年にワイヤレス給電技術が進化し,電動化され電気をエネルギー源とする乗り物は,ラスト・ワン・メートルの問題を全て解決できる可能性が得られた.ワイヤレス給電技術は,電気自動車を含む,機器の電動化の加速に対して大きな力となり,電気ケーブルの撤廃から始まり,未来の交通社会をも劇的に変える原動力を持っている.本稿では,若者に向けて未来の交通社会のあり様を考える一つのきっかけを与えられることを期待して記すことにする.

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© 2013 一般社団法人 電子情報通信学会
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