2010 年 10 巻 2 号 p. 41-44
ヒメナンブサナダゴケPlagiothecium latebricola Schimp.はヨーロッパで記載された,サナダゴケ属の中では小形の種である.北米やアジアでは比較的稀な種であり,国内ではこれまで北海道から報告されていた.今回,栃木県日光の白根山周辺で,本種の生育を確認した.本種の特徴の一つである無性芽は北海道産のものでは確認されていなかったが,今回確認した.ヒメナンブサナダゴケはナンブサナダゴケPlagiothecium laetum Schimp.に似るが,植物体はより小さく,扁平にならないこと,葉も小さく,より相称になること,雌雄異株であること,紡錘形の無性芽をもつことなどで区別できる.今後,本州の冷温帯での発見が予想される.