蘚苔類研究
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赤目渓谷(赤目四十八滝)(日本の貴重なコケの森)
秋山 弘之
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2011 年 10 巻 4 号 p. 102-104

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抄録
赤目渓谷(通称赤目四十八滝)は,宇陀川の支流である滝川の上流部に位置している.核心部は三重県名張市赤目町滝から標高500mまでの間で,大小様々の滝が連続することから,四十八滝と呼び習わされている.下流側の入り口には日本サンショウウオセンターがあって,その建物の中を通り抜けて渓谷沿いに歩く(その際に入山料を支払う).上流部では両岸がやや開けるとともに流れが緩やかになり,低い分水嶺を越えて三重県曽爾村の名勝香落渓(かおちだに)落合にいたる.滝が連続するいわゆる四十八滝の部分は延壽院ほかの所有で,三重県,名張市,NPO法人赤目四十八滝渓谷保勝会が管理を行っている.赤目渓谷には希少種が多数生育するというわけではないが,「日本の滝百選」や「森林浴の森百選」にも選ばれた,日本を代表する風光明媚な渓谷の一つである.低地にもかかわらず深山の雰囲気があり,岩と水,常緑の杉と落葉樹,そして豊富に生育するコケ植物とが相まって,渓谷美を形作っている様子からコケの森として認定された.
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2011 日本蘚苔類学会
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