抄録
Microlejeunea ponapensis Horik.はカロリン諸島から新種記載されたクサリゴケ科の苔類である(Horikawa 1936).本種はその後,Miller et al.(1963)によってサンカクゴケ属Drepanolejeuneaに移され,現在に至っている.今回,本種の基準標本を見出すことはできなかったが,Horikawa(1936)の記載や図33によく一致する標本を再検討することができた.その結果,花被の直下から出るinnovation(新枝)の葉序から,本種はクサリゴケ属Lejeuneaであることが分かった.また,葉が鋭頭になり,腹葉が舌状になる特徴はジャワ島から記載されているサンカクゴケモドキLejeunea exilis(Reinw., Blume et Nees) Grolleとよく一致し,この2種は同一種であることを確認した.よって,M.ponapensisをサンカクゴケモドキL,exilis(Reinw., Blume et Nees) Grolleの異名とした.