武道学研究
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原著
青年期から中年期にかけて剣道が視機能に及ぼす影響
中村 充田中 稔廣瀬 伸良菅波 盛雄前川 直也
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キーワード: 剣道, 視機能, 加齢, 習慣
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2009 年 42 巻 1 号 p. 1_1-1_8

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抄録

視機能も多くの生理機能と同様で,加齢に伴いその機能は低下することが明らかにされている。そこで本研究では,青年期から中年期にかけての視機能の加齢変化,および日常での剣道実施習慣が加齢変化に対してどのような影響を及ぼすのかについて検討を行った。測定を実施した8項目は,SVA (static visual acuity), KVA (kinetic visual acuity), DVA (dynamic visual acuity), CS (contrast sensitivity), DP (depth perception), OMS (ocular motor skill), VRT (visual reaction time), E/H (eye/hand coordination) である。
その結果,次のような知見が得られた。(1)今回測定を行った 8項目は,それぞれが完全に独立しているのではなく互いが影響し合い,特に SVAの適正な矯正によりKVAならびにCS能力の向上が示唆された。(2)非スポーツ習慣群では,加齢に伴いDVA, VRT, E/Hの減弱がみられた。(3)視機能の発達がピークを迎える青年期においては,一般的なスポーツ習慣を有する者と持たない者の間では大きな差はみられない。(4)中年期において,一週間に3回以上の剣道実施習慣は KVA, DVA, VRT, E/Hなどの視機能に対し,加齢によるその機能低下のスピードを鈍化させる可能性が示唆された。

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© 2009 日本武道学会
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