2001 年 52 巻 4-5 号 p. 135-141
有珠火山2000年噴火は,2000年3月31日に北西山麓におけるマグマ水蒸気爆発によって開始された.多数の小火口が形成された後,その山麓に潜在溶岩ドームが成長した.本噴火の発生により1万6千人以上が避難し,このうち8千人あまりの住民は1ヶ月以上にも及ぶ避難を強いられた. 政府は火山活動の総合的緊急監視観測体制の整備計画を実施した.地質調査所では, 1)地殻変動・噴煙の監視, 2)火山活動の地質学的観測・噴出物の岩石学的観察, 3)空中磁気探査を分担・実施した.本稿は当所による有珠火山2000年噴火の観測研究の概要報告である.