地質調査研究報告
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総説
  • 西澤 修, 中島 善人, 小暮 哲也, 張 毅, 薛 自求
    2026 年77 巻2 号 p. 29-69
    発行日: 2026/06/09
    公開日: 2026/06/11
    ジャーナル フリー

    地殻には様々な流体が存在するが,塩水中の石油や天然ガスのように不混和2相を形成するものがある.最近,人類が排出したCO2による気候変動を緩和する方法として地下の帯水層にCO2を注入するCCS(Carbon Capture and Storage)が有効であるとされ,塩水と超臨界CO2から成る不混和2相流体の多孔質岩石中での流動に関する研究が行われている.この分野はこれまで地下水,石油,天然ガスなどの資源関連分野で研究がなされてきたが,流動メカニズムの基礎的研究の成果は他の地球科学分野にとっても有用である.特に,岩石に対する流体の濡れ性の違いや,流速の違いが流路に様々な影響を与える.水や塩水は岩石に対する濡れ性流体であるが,石油やガス(超臨界状態CO2も含む)は非濡れ性流体である.孔隙中では濡れ性流体と非濡れ性流体の間に生じる圧力差が不混和流体の流動を支配する.そのため,流体移動を支配する岩石固有の物性値としての浸透率は流動の実態を反映しない.不混和流体の流動に関する研究はCCSだけでなく,火山,地震などの災害分野,地下水,土木の分野,及び地球科学の学術分野にも有用な知見を与えるであろう.本稿では不混和2相流体流動に関する基礎事項と最近の研究動向を紹介する.

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