地質調査研究報告
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総説
放射年代測定法を用いた地熱系の長期変動解析
水垣 桂子
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2004 年 55 巻 11-12 号 p. 431-438

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抄録

放射性廃棄物の地層処分地点選定に際して,地熱活動の影響を評価するためには地熱活動の長期的な時間・空間スケールを知ることが必要である.その手段としては地熱地域に普遍的に産する物質を対象とし地熱系程度の温度で確実にリセットされる放射年代測定法,すなわち電子スピン共鳴(ESR)法及び熱ルミネッセンス(TL)法が適している.地熱活動の移動速度を測定した例としてTL 法による数km/10 万年という数値があり,また再活動間隔としてTL法で約40万年,ESR 法で1~2万年の測定例がある.しかしこのような研究例はまだ少ないので,一般的な指針を示すためには系統的な年代測定をなるべく多く実施し地熱系の変動解析例を増やすことが急務である.

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© 2004 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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