地質調査研究報告
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西南日本花崗岩類のレアアース特性: 足摺岬の新第三紀深成岩類と山陽帯の後期白亜紀花崗岩類
石原 舜三村上 浩康
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2006 年 57 巻 3-4 号 p. 89-103

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抄録

足摺岬深成岩類 (n = 12) 及び西南日本の山陽帯花崗岩類の浅成花崗岩類 (n = 20) の化学分析を実施し,希土類元素量とその分布特性の解明を試みた.足摺岬のアルカリ花崗岩類はアルカリに富み,Ba, Zr, Nb, Zn が多いなど,弱いながらも A タイプ的な性格をもつ.この花崗岩類は我が国では最も希土類元素に富み,その総量は平均 453 ppm に達するが,軽希土類に富み重希土類に乏しい (LREE/HREE=11) .山陽帯の花崗岩類では,苗木花崗岩が平均 246 ppm ,田上花崗岩が平均 213 ppm であり,総量は少ないが,重希土類に富んでいる(LREE/HREE = 2.8 ~ 2.4) .このような地域差は原マグマの起源物質と固結前の分化作用の相違に基づいている.田上花崗岩中の苦鉄質エンクレーブでは, 1,804 ppm REE + Y に達する新発見があった.

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© 2006 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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