2022 年 73 巻 5-6 号 p. 197-209
トカラ列島南部海域において,海域地質図作成を目的としたマルチビーム音響測深装置(MBES)による海底地形航走観測を実施し,高解像度海底地形図を作成した.その結果,2つの線状構造(N24°E,N73°E方向)が混在する地域であることが明らかになった.これらの線状構造はそれぞれ沖縄トラフ拡大とトカラギャップの形成に関する構造である可能性が高く,本海域は琉球弧における背弧リフト形成史の理解に重要であると考えられる.さらに海底地形が高解像度で得られたことで,横ガン海丘南部にN73°E方向に配列する海丘群を発見し,横当雁行海丘群として記載した.この海丘群はダイポール型の磁気異常と反射法地震探査の観測結果から,火山性の構造であることが推測される.