1996 年 26 巻 p. 5-8
オウトウ果実2品種('佐藤錦'及び'高砂')を供試して,生育期間中に数回採取し,生育ならびに成熟と関連させて,呼吸量及びエチレン生成量の変化を調べた。時期を追って果実を採取し,それぞれ採取後20℃で24時間後の呼吸量を測定した値から樹上での生育に伴う呼吸量の変化を推測すると,2品種とも呼吸量の単調な減少を示すnon-climactericパターンを示した。エチレン生成量は0,4μl/kg ・ hr以下の値で推移した。各生育段階の果実において,採取後20℃貯蔵中の呼吸量の変化は2品種とも単調に減少し,non-climactericパターンを示した。またエテレン生成量の変化は2品種とも0.1〜0.4μl/kg ・ hrの値で推移した。'佐藤錦'に採取後500ppmのエチレンを24時間処理すると,未熟な段階で採取した果実では呼吸量は増大した。以上の結果より,オウトウ果実('佐藤錦'及び'高砂')はnon-climacteric型の果実と考えられる。