石川県農業短期大学研究報告
Online ISSN : 2433-6491
Print ISSN : 0389-9977
26 巻
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  • 北村 利夫
    原稿種別: 本文
    1996 年 26 巻 p. 5-8
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2018/04/02
    研究報告書・技術報告書 フリー
    オウトウ果実2品種('佐藤錦'及び'高砂')を供試して,生育期間中に数回採取し,生育ならびに成熟と関連させて,呼吸量及びエチレン生成量の変化を調べた。時期を追って果実を採取し,それぞれ採取後20℃で24時間後の呼吸量を測定した値から樹上での生育に伴う呼吸量の変化を推測すると,2品種とも呼吸量の単調な減少を示すnon-climactericパターンを示した。エチレン生成量は0,4μl/kg ・ hr以下の値で推移した。各生育段階の果実において,採取後20℃貯蔵中の呼吸量の変化は2品種とも単調に減少し,non-climactericパターンを示した。またエテレン生成量の変化は2品種とも0.1〜0.4μl/kg ・ hrの値で推移した。'佐藤錦'に採取後500ppmのエチレンを24時間処理すると,未熟な段階で採取した果実では呼吸量は増大した。以上の結果より,オウトウ果実('佐藤錦'及び'高砂')はnon-climacteric型の果実と考えられる。
  • 大谷 基泰
    原稿種別: 本文
    1996 年 26 巻 p. 15-43
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2018/04/02
    研究報告書・技術報告書 フリー
    近年,細胞融合や遺伝子導入などバイオテクノロジーが,トマトやイネなどの作物の育種に応用され始めて,いくつかの成果が出てきている.オレンジとカラタチの体細胞雑種の「オレンジカラタチ中間母本農1号」やアメリカで遺伝子組換え植物として始めて売り出された「Flavr Savr^<TM>」はその主要な成果である.しかしながら,園芸植物種を多く含むIpomoea属植物では,バイオテクノロジーに関する研究がイネ,トウモロコシ,ジャガイモなどの主要作物に比べて大きく立ち遅れている状熊である.本論文では,Ipomoea属植物の中で,サツマイモとI trichocarpaについてバイオテクノロジーを利用した育種の可能性について論じた.本論文は,第1章の序論から第5章の総合考察まで,全5章から構成される.第1章の総合序論では,本論文の背景と目的,さらにバイオテクノロジーの植物育種への応用の可能性について例をあげて述べ, Ipomoea属植物種の育種におけるバイオテクノロジーの重要性を論じた.第2章では,バイオテクノロシー技術を確立する際の最も基本的な技術である培養組織からの植物体再生について検討した.その結果,サツマイモとその近縁野生種I trichocarpaの葉片由来カルスからの効率的な不定芽の再分化条件が明らかになった.サツマイモ品種中国25号の葉片出来カルスからの不定芽形成は,培養組織からの再分化の際に広く用いられているBAの添加によっては促進されず,再分化培地としては植物生長調節物質を添加しないLS培地が適当であった.その際,エチレン阻害剤であるAgNO_3をカルス誘導培地に2 mg/lの濃度で添加することによって極めて高い不定芽形成率を得ることができた.このことから,サツマイモではカルス誘導時のエチレンの発生を抑制することによって再分化能を持ったカルスを誘導することができることが示唆された.不定芽形成はABAによっても影響され,2 mg/I ABAをカルス誘導培地に添加して得られたカルスから高い頻度で不定芽が再分化した.I trichocarpaの葉片由来カルスからの不定芽形成は,再分化培地にBAを添加することによって促進することができ,サツマイモの場合と異なった傾向を示した. このことから,I trichocarpaは内生サイトカイニンの量がサツマイモと比べて低いと考えられた.また,I trichocarpaの場合,カルスから不定芽を得るのには,カルスから直接不定芽を誘導する方法と,カルスから再生した不定根,を,LSホルモンフリー培地に移植して不定根から不定芽を誘導する二通りの方法によって可能であった. Ipomoea属植物では,カルスからの不定根分化は,不定芽の分化に比べて比較的高頻度で生じるので,この不定根を経由した不定芽の再生方法によって,他のIpomoea属植物のカルスからの再生系を確立することの可能性が示唆された.第3章では,細胞融合やプロトプラストヘの遺伝子導入といったバイオテクノロジー技術の基礎となるプロトプラストの単離と培養についてサツマイモの葉肉組織と培養細胞を材料にしておこなった.その結果,葉肉組織からのプロトプラストの単離には,in vitro植物の展開葉の切片を,滅菌水に約16時間浸す前処理を行うことが有効であり,前処理を行わなかったものに比べて20倍以上の収量が得られた.葉肉プロトプラストと培養細胞由来プロトプラストは同様の比較的簡単な培養方法によって,効率良くカルス化することが可能であり,プロトプラスト由来カルスからの不定芽の形成は見られなかったが,不定根の再生が観察された.第4章では,野生型Agrobacterium rhizogenesによるサツマイモとI trichocarpaの形質転換を行った.その結果,ミキモピン型のバクテリアをサツマイモ数品種に接種した実験では,毛状根形成について品種間差異が認められ,さらに,サツマイモ品種中国25号に異なった系統のバクテリアを接種したところ,バクテリア間でも毛状根形成に差異が生じるのを確認できた.このことは,供試する植物材料に適したバクテリア系統を選択する.必要性があることを示唆しているサツマイモでは,ミキモピン型のバクテリアによって比較的高頻度に毛状根を誘導することができた.これに対して,I trichocarpaでは,バクテリア系統間での毛状根形成に著しい差異は認められず,全てのバクテリアにおいて80%以上の切片から毛状根が形成された.毛状根を植物ホルモンを含まないLS培地に移植することによって,サツマイモとI trichocarpaの両種の毛状根から不定芽を再生させることが可能であった.再生した形質転換体は,葉が波打つ,地上部が矮化するといったR_1プラスミドで形質転換した植物体に特徴的に見られる特性を示した.サツマイモでは,地上部の矮l化は,単位面積当たりに栽植できる株数の増加につながり,このことは単位面積当たりの収量の向上につながるために有用な形質と考えられた.
  • 原稿種別: 付録等
    1996 年 26 巻 p. App2-
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2018/04/02
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1996 年 26 巻 p. Cover1-
    発行日: 1996/12/28
    公開日: 2018/04/02
    研究報告書・技術報告書 フリー
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