石川県農業短期大学農業資源研究所報告
Online ISSN : 2433-6513
Print ISSN : 0915-3268
PCR法によるレンゲ根粒菌の菌株識別
田知本 正夫
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1999 年 6 巻 p. 61-66

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抄録

畿つかの既知あるいはランダムのプライマーを用いてDNAの一部をPCR増幅レそのバンドパターンをもとにレンゲ根粒菌の菌株を識別することを試みた。PCR反応には国内外のレンゲ根粒菌5菌株を供試しSPH I(ランダムプライマー,nifHDK(窒素固定遺伝子nifの一部),およびERIC IRとERIC2(腸内細菌の遺伝子間反復配列の両端)のプラプライマーセットを用いた。いずれのプライマーでもPCRによってDNAの断片が増幅され,中国産と日本産のレンゲ根粒菌はそれぞれ類似のバンドパターンを示し両グループの識別は容易であった。各グループ内の菌株間の識別はひとつのプライマーあるいはプライマーセットだけでは困難な場合もあったが,各プライマーによる結果を組み合わせると識別が可能であり,接種根粒菌の感乗率の調査等に利用が可能であると考えられる。水田転換畑の同一圃場に栽培されたレンゲの根粒からランダムに分離したレンゲ根粒菌は多様なバンドパターンを示し同一圃場でも数種類のレンゲ根粒菌が存在することが示唆された。ポット栽培による根粒菌接種栽培試験において形成された根粒から分離された根粒菌についてPCR法によって菌株を調べたところ,一部の接種菌株を除き,接種菌株による根粒形成が確認された。

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© 1999 石川県公立大学法人石川県立大学
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