目 的
離島以外の地域からへき地医療機関に赴任した主に5年未満の看護師達を対象に,前職での看護実践経験のある看護師の離島赴任後の戸惑いや困難に対する乗り越え方等の実態を語りから明らかにすることで,異文化適応への支援について示唆を得る。
方 法
離島へき地医療機関に勤務する12名の看護師を対象にし,ライフラインインタビューメソッドを用いて2回の半構造化面接を行った。そこから目的に沿った語りを切片化した後,カテゴライズした。
結 果
赴任した当初は,【生活面の違いに戸惑う】ことから【孤独感】に陥り,仕事面では【前職との違いに戸惑う】ことも少なくなかった。しかし,〈行き詰まって独りで悩む〉ばかりでは解決できないと悟り,【職場や地元の人に打ち明ける】ことを始めていた。その結果,生活面では次第に【地域に溶け込めた感覚】を得,職場では現地のやり方に【納得】する一方,〈積極的に自分の思う看護を実践〉も出来るようになり,【手応え】を感じるようになってゆくと,「ここでやって行けそうだ」と感じるようになっていった。これらのプロセスは,ライフラインに乗せるとU字カーブ上に描かれた。
考 察
へき地で勤務するとは,「中途採用者が抱える職場適応の課題」と,「移住者が抱える生活適応の課題」があることが明らかとなり,赴任する側,受け入れる側,双方にカルチャー・ショック理論の知見が役立つと考える。