文化看護学会誌
Online ISSN : 2433-4308
Print ISSN : 1883-8774
最新号
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原著論文
  • 張 平平, 黒田 久美子, 正木 治恵, 松本 毅
    2023 年 15 巻 1 号 p. 1_1-1_10
    発行日: 2023/05/31
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,腰痛の有訴者である高齢者を対象に慢性腰痛(LBP:Low back pain)を軽減するための経穴刺激セルフケア方法を開発することである。研究者らによる経穴刺激法の指導を受けた13名の対象高齢者は研究者らが考案した経穴刺激法ガイドにそった経穴刺激を2か月間継続的に実施した。実施した効果を主観的・客観的に評価した。経穴刺激法実施前,実施1週間後,実施2か月後に対象高齢者へのサーモグラフィによる腰部表面温度の測定を行い,3回の腰部表面温度を一要因分散分析で行った結果,実施2か月後の腰部表面温度が実施前より有意に高かった。また,経穴刺激法実施2か月後の対象高齢者の腰痛状況を経穴刺激法実施直前直後別に腰痛の程度を示すVAS(visual analogue scale)による評価結果では,実施直後の点数が実施直前の点数より有意に低かった。さらに,経穴刺激法実施2か月後の対象高齢者の気づきに対するインタビュー結果により,腰痛状況の変化と腰痛改善による身体変化への自覚及び自分自身の力による健康維持への意識向上が伺えた。 これらの結果により,研究者らによる「経穴刺激法ガイド」と「対象高齢者への経穴刺激法の指導」及び,対象高齢者による「経穴刺激セルフケアの実施」から構成される東洋医学の知恵を活かした高齢者の慢性腰痛改善を目指した経穴刺激セルフケア方法が開発された。

総説
  • ―米国文献レビューから日本での実践の可能性を探る―
    野口 恵子
    2023 年 15 巻 1 号 p. 1_11-1_21
    発行日: 2023/05/31
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー

    目  的
    わが国は超高齢社会を迎え,多死,二人に一人ががん罹患など生老病死と日常的に向き合うことが増えてきたために,地域に暮らす人々に身体的ケアだけでなくスピリチュアルケアに対するニーズが増加してきている。スピリチュアルケアを活動の中心にしたFaith Community Nursing(FCN)という地域にある教会の看護師による看護活動が米国にある。FCNは,日本でも,地域社会に貢献できるのか,その可能性を探求する。そのために,1)Faith Community Nurse(FCNs)が実施するケア内容,2)FCNの活動内で信仰共同体が実施しているケア内容を文献から調査し,その上で,FCNの特徴と日本でのFCNの可能性を考察する。
    方  法
    文献研究を実施した。CINAHLより,Faith Community Nurse(ing),Parish Nurse(ing)をキーワードとして検索した。
    結  果
    それぞれ16件と15件の記事が検索された。重複する文献を省き,研究目的にあった16件を分析対象とした。目的1)では,【観察】【健康教育の提供】【感情のサポート・スピリチュアルケア】【Long-term care】【傾聴/プレゼンスというケア】【信徒の礼拝サポート】【祈り】【聖典や聖職者によるケア】という8つ,目的2)では,【人的資源との交わり】【ボランティアと協働したケア】【地域との互酬性・互恵性のあるケア】の3つのカテゴリーが抽出された。
    考  察
    FCNsのケアの特徴は,「身体的なケアに留まらない,感情やスピリチュアリティをより意識したケア」「宗教的資源を活用した寄り添い型のスピリチュアルケア」,共同体のケアの特徴としては,「社会資源と人とのつなぎ」「制度的枠組みの補完」というタイトルが挙げられた。日本での可能性としては,宗教的ケアの発露に気を付ける必要があるが,全人的ケアを補完する可能性が示唆された。

報告
  • 花井 詠子
    2023 年 15 巻 1 号 p. 1_22-1_30
    発行日: 2023/05/31
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー

    目  的
    四国巡礼者の地震・津波に対する防災減災行動の特性を明らかにし,四国巡礼者自らが地震・津波から生命・身体を守る行動をとれるための示唆を得ることである。
    方  法
    令和3年3・4月の土・日4日間に,四国巡礼を観光バス以外で行っている者に対し,37番札所岩本寺で,危機意識,地震・津波に関する認知,巡礼中の不安等について、無記名自記式質問紙調査を実施した。数量データは各項目単純・クロス集計後,変数間の関係をWindows spssver.25を用いてχ二乗検定又はFisherの正確確率検定で確認した。(P<0.05%)質的データは,類似する意見をカテゴリ化して整理し,特徴を確認した。
    結  果
    協力者は120人であり,男性,40~69歳代,自動車利用,初回巡礼が半数以上であった。
    危機意識56.7%,地震・津波に関する認知の内ハザード知識69.2%,情報解釈91.7%であったが,避難知識49.2%,避難知識理解45.8%であった。危機意識とハザード知識の有無には有意な関係が見られた。巡礼中の不安は,15コード,3カテゴリ抽出され,備えは51.7%が実施していた。最も行っている備えは,看板・表示・避難場所を確認しながら移動する 29.6%であった。
    考  察
    四国巡礼者の地震・津波に対する防災減災行動は,巡礼路にある避難看板の情報解釈はできるが,避難行動に繋げる為の地震・津波避難知識・理解の不足という特性がある。よって避難看板の表示を工夫するなどしてそれらを補完し,確実に避難行動に繋がるようにしていくことが有用であると示唆された。

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