文化看護学会誌
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原著論文
  • ―エスノグラフィー研究―
    日髙 未希恵
    2024 年16 巻1 号 p. 1_2-1_10
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2025/07/02
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,認知症にやさしいコミュニティ(Dementia-friendly community;以下DFC)の実現を目指す地域密着型介護事業所の利用者である認知症の人々の生活状況から,事業所で過ごす認知症当事者を含む集団が構成する文化を捉え,DFCに認知症当事者が求める要素を理解することである。
    本研究は,DFCの実現を目指し介護サービスを提供する地域密着型通所介護事業所において,利用者である認知症の人10名を対象とし,エスノグラフィーの手法に拠る質的記述的研究を行った。調査期間は,2018年6月から2019年7月であった。データは,参与観察(約162時間)およびエスノグラフィックインタビューに拠り収集された。データは,Spradleyの手法を参考にし,段階的研究手順法に拠り分析した。
    その結果,DFCに認知症当事者が求める要素として6つのカテゴリーが抽出された。それらのうち,《意思決定の尊重》,《個々の強みを活かした役割の尊重》,《対等な関係性が育む主体性の尊重》,《地域社会との多様な交流》は,先行研究と同じ文脈であった。一方で,《認知症の人同士で創る居場所》,《家族関係のしがらみからの一時的な解放》は,本研究で新しく抽出された要素だった。
    本研究の知見は,福祉,医療,地域社会など様々なコミュニティで従事する看護職にとって,認知症の人が有する力や彼らのニーズの理解を促し,認知症ケアや看護実践におけるアセスメント,介入および評価の発展に寄与するものと考えられる。

  • ―縦断的測定による教育効果の検討―
    畠中 香織, 山本 恵美子, 山野 洋一, 田中 共子
    2024 年16 巻1 号 p. 1_11-1_21
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2025/07/02
    ジャーナル フリー

    目  的
    高齢者介護施設(以下,介護施設)における外国人ケア労働者(以下,外国人)を対象に,独自に開発した「異文化間ケア教育e-learning」(Cross-cultural Care e-Learning:CCL)の教育効果を検証し,介護施設で就労する外国人の異文化適応の促進にむけて検討する。
    方  法
    CCLはパンフレットと動画から構成される。教育介入後,Web調査(無記名式)とケア行動記録を用いて,縦断的測定で教育効果を検討した。評価時期は受講開始前,1か月後,3か月後とした。CCLの介入効果の評価は,受講後の意見や自由記述,ケア行動記録,そしてワーク・エンゲージメント尺度(以下,UWES),職務満足感尺度,ストレス反応等の尺度から分析した。教育方法の評価は,受講後の意見や自由記述,ケア行動記録から分析した。
    結  果
    介入対象者は31名,3時点全てで評価した回答者は12名であった。介入評価として,CCL直後は【ケアスキルの向上】,【ケアの文化差への気づき】,ケア行動記録からは【異文化間ケアを受容】,【ケアの再認識】のカテゴリーが抽出された。3時点の尺度の分散分析では,心理的ストレスの内,心理的な仕事の量的負荷の得点が期間の進行で有意に低下していた。教育方法の評価では,【理解しやすい内容】,【将来への活用が可能】等が抽出された。
    考  察
    今回のCCLが,外国人の学習ニーズに応え,異文化適応の内,社会文化的適応に重要な仕事の文化や慣習に関する理解を促し,心理的ストレスの低減につながっていた。CCLが日本の職場環境での仕事への順応を支援し,日本人との「協働文化」構築への手がかりとなり得ることが考えられる。

報告
  • ―島嶼地域にある病院での取り組み―
    鈴木 美恵, 田場 由紀
    2024 年16 巻1 号 p. 1_22-1_30
    発行日: 2024/05/31
    公開日: 2025/07/02
    ジャーナル フリー

    目  的
    本研究の目的は,報告者が入院高齢者の地域文化行動を支える看護活動を試み,その看護体験を記述することである。
    方  法
    報告者は,選定された4名の高齢者に対し地域文化行動を支える看護活動を展開した。データは,4事例に対する看護記録から,報告者の看護体験を中心に,事例ごとのかかわりプロセスについて事例の選定場面,アセスメント場面,計画実施場面を記述した。記述内容に対し,「地域文化行動を支える看護活動は看護師にどのような体験をもたらすか」を問い,質的帰納的に分析した。
    結  果
    入院高齢者の地域文化行動を支える看護活動の体験は11のサブカテゴリー,3のカテゴリーがあった。看護師が入院高齢者の地域文化行動へのニーズに関心を寄せ,ニーズの充足を実現しようとすることは【ケア関係の活性化と深まり】につながり,【高齢者の社会参加を具現化】することによって,【高齢者の喜び・生きがいを生成】しながら,さらなる【ケア関係の活性化と深まり】をもたらしていた。
    考  察
    入院高齢者の地域文化行動を支える看護の意義は,入院によって自らの状況を抗う気力を持ちきれずにいる高齢者にとって,看護師との関係形成を助けて治療に臨む力になる可能性があった。また,看護師にとっては,高齢者との関係の深まりや高齢者の喜びの創造する体験を繰り返すことで,看護観の発展に寄与できる可能性があると考えられた。

コラム
会長講演
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基調講演
対談講演:日本の高齢者の〈迷惑〉意識とケア―海外との比較も踏まえて―
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