目 的
わが国は超高齢社会を迎え,多死,二人に一人ががん罹患など生老病死と日常的に向き合うことが増えてきたために,地域に暮らす人々に身体的ケアだけでなくスピリチュアルケアに対するニーズが増加してきている。スピリチュアルケアを活動の中心にしたFaith Community Nursing(FCN)という地域にある教会の看護師による看護活動が米国にある。FCNは,日本でも,地域社会に貢献できるのか,その可能性を探求する。そのために,1)Faith Community Nurse(FCNs)が実施するケア内容,2)FCNの活動内で信仰共同体が実施しているケア内容を文献から調査し,その上で,FCNの特徴と日本でのFCNの可能性を考察する。
方 法
文献研究を実施した。CINAHLより,Faith Community Nurse(ing),Parish Nurse(ing)をキーワードとして検索した。
結 果
それぞれ16件と15件の記事が検索された。重複する文献を省き,研究目的にあった16件を分析対象とした。目的1)では,【観察】【健康教育の提供】【感情のサポート・スピリチュアルケア】【Long-term care】【傾聴/プレゼンスというケア】【信徒の礼拝サポート】【祈り】【聖典や聖職者によるケア】という8つ,目的2)では,【人的資源との交わり】【ボランティアと協働したケア】【地域との互酬性・互恵性のあるケア】の3つのカテゴリーが抽出された。
考 察
FCNsのケアの特徴は,「身体的なケアに留まらない,感情やスピリチュアリティをより意識したケア」「宗教的資源を活用した寄り添い型のスピリチュアルケア」,共同体のケアの特徴としては,「社会資源と人とのつなぎ」「制度的枠組みの補完」というタイトルが挙げられた。日本での可能性としては,宗教的ケアの発露に気を付ける必要があるが,全人的ケアを補完する可能性が示唆された。
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