文化看護学会誌
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Print ISSN : 1883-8774
原著論文
高齢者の慢性腰痛改善を目指した経穴刺激セルフケア方法の開発
張 平平黒田 久美子正木 治恵松本 毅
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2023 年 15 巻 1 号 p. 1_1-1_10

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抄録

本研究の目的は,腰痛の有訴者である高齢者を対象に慢性腰痛(LBP:Low back pain)を軽減するための経穴刺激セルフケア方法を開発することである。研究者らによる経穴刺激法の指導を受けた13名の対象高齢者は研究者らが考案した経穴刺激法ガイドにそった経穴刺激を2か月間継続的に実施した。実施した効果を主観的・客観的に評価した。経穴刺激法実施前,実施1週間後,実施2か月後に対象高齢者へのサーモグラフィによる腰部表面温度の測定を行い,3回の腰部表面温度を一要因分散分析で行った結果,実施2か月後の腰部表面温度が実施前より有意に高かった。また,経穴刺激法実施2か月後の対象高齢者の腰痛状況を経穴刺激法実施直前直後別に腰痛の程度を示すVAS(visual analogue scale)による評価結果では,実施直後の点数が実施直前の点数より有意に低かった。さらに,経穴刺激法実施2か月後の対象高齢者の気づきに対するインタビュー結果により,腰痛状況の変化と腰痛改善による身体変化への自覚及び自分自身の力による健康維持への意識向上が伺えた。 これらの結果により,研究者らによる「経穴刺激法ガイド」と「対象高齢者への経穴刺激法の指導」及び,対象高齢者による「経穴刺激セルフケアの実施」から構成される東洋医学の知恵を活かした高齢者の慢性腰痛改善を目指した経穴刺激セルフケア方法が開発された。

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