放送研究と調査
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調査研究ノート メディア利用行動をどうとらえるか 2020年国民生活時間調査に向けての検討
調査票に関するグループインタビューから
渡辺 洋子吉藤 昌代
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2018 年 68 巻 5 号 p. 62-72

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抄録

国民生活時間調査の大きな特徴は、調査に継続性があり、時系列でデータを比較できることである。そのため、これまで調査票の変更を最小限にとどめてきたが、メディア利用の多様化により対応できない部分が生じ、2020年調査に向けて修正が必要になっている。そこで、具体的な問題点を聞き出すためにグループインタビューを行った結果、①細切れ・同時行動を想起・記入すること、②インターメット上のコミュニケーションの分類、③メディア利用行動の分類とワーディングという3つの課題が見出された。今後の修正の方向性としては2通り考えられる。1つは調査の時系列比較を維持するため定例の調査はできるだけ変更せず、定例の調査ではとらえきれないメディア利用は、別途それに特化した機動調査を行う方向である。もう1つは、現在のメディア利用行動の実態を把握することを優先して、調査の大幅なリニューアルを行う方向である。どちらの方向で調査票を修正するかはこれから検討することとなるが、その際、「国民生活時間調査」で捉えるべき日本人の生活とは何か、日記式の「生活行動調査」で把握できることは何かを改めて整理する必要がある。今後の工程としては、今回のグループインタビューの結果をもとに作成した調査票を用いて、2018年10月にメディア接触に関する生活時間調査を実施し、調査票の課題を再確認した上で、2020年の国民生活時間調査の調査票を修正する予定である。

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© 2018 NHK放送文化研究所
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