放送研究と調査
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最新号
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  • 過去の災害の教訓は生かされたのか
    中丸 憲一, 中山 準之助
    2024 年 74 巻 4 号 p. 2-31
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2024/04/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「今すぐ逃げること」。2024年元日の夕刻に発生した能登半島地震で、東日本大震災以来となる大津波警報が発表され、NHKの放送では、アナウンサーが強い口調で避難を呼びかけた。本稿では、この呼びかけを含めた初動対応を5つのフェーズに分けて詳細に分析した。語尾を「〇〇すること」とする呼びかけを「念押しのことば」として定義するとともに、東日本大震災を教訓にNHKが作成した「命を守る呼びかけ」が、放送の歴史上、大津波警報発表下で初めて本格運用されたことを論証した。一方で、「日本海側で起きる津波の到達は早い」という情報については、必ずしも十分に伝えきれなかったという課題も提起した。 また、「災害関連死」を防ぐための課題についても、▼熊本地震以降に注目された避難所運営の国際基準や▼100年前の関東大震災以来、重要視されてきた「広域避難」を例に分析。今回の能登半島地震で過去の教訓が十分に生かされなかったことを指摘し、今後の災害時に求められるメディアの役割を検討した。
  • 日韓でみるロイター・デジタルニュースリポート2023
    税所 玲子, 池畑 修平
    2024 年 74 巻 4 号 p. 32-51
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2024/04/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、イギリスのオックスフォード大学にあるロイタージャーナリズム研究所が行う国際比較調査『デジタルニュースリポート2023』についてのシリーズの第3回で、日本と韓国のデータを取り上げた。ニュースへの「信頼」や「関心」、特定のニュースを避ける「ニュース回避」、ジャーナリストへの批判、主なニュース源(News Source)、ソーシャルメディアでの情報源、誤情報・偽情報への懸念などの分析を通じ、両国の市民がどのようにニュースに接しているか概観した。 日韓は、「アグリゲーター」とも呼ばれているプラットフォームの利用者が多いなど、メディア環境で共通点がある。 一方、政治・社会の状況では、韓国は保守派と革新派の対立が続き、メディアがその対立に関わっているなど、日本と異なる点もある。分析の結果、韓国ではニュースへの信頼や回避する話題、ソーシャルメディアでの情報源などで、政治の影響が日本よりも強いことがうかがえた。また、報道機関などによるファクトチェックが進んでいる韓国では、誤情報・偽情報の懸念が強く、その話題でも政治の影響がうかがえた。 さらに、日韓ともに現状ではプラットフォームが優位の状況を維持しているが、若者層では、ソーシャルメディアの利用が増えている。日本でも韓国でも18~24歳の間では、ソーシャルメディアの利用がプラットフォームの利用を上回っており、この傾向は今後、加速していくことが予想される。
  • 公共放送の文化支援のあり方とは
    小笠原 晶子
    2024 年 74 巻 4 号 p. 52-56
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2024/04/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ラジオ放送が始まった1920年代、世界各国で公共放送傘下に「放送オーケストラ」や「放送合唱団」が誕生した。ヨーロッパでは100年近くを経た現在も、多くの放送オーケストラが放送向けの演奏ほか、一般向けコンサート、音楽教育プログラムの提供など、音楽文化の振興を目的に活動している。一方、公共放送が経費削減や経営合理化を迫られる中、ここ数年は楽団の閉鎖や縮小など運営の見直しの議論が相次いでいる。イギリス公共放送BBCは2023年に3つのオーケストラの人員20%カットと合唱団を廃止する計画を発表した。しかし音楽家や市民などからの強い反発があり、存続に向けた検討がなされることになった。フランスでは公共ラジオRadio Franceが2つの放送オーケストラと1つの合唱団を運営しているが、マクロン政権下で経費削減を求められ、2019年、2つのオーケストラをそのまま維持する一方、合唱団は団員3割の削減を決めた。またオーストリアでは2023年2月、公共放送ORF会長がオーケストラ廃止を含む経費削減案を発表した。しかし、これまでの実績や貢献を踏まえ、音楽家や市民からの強い反対が出て、存続に向けた検討が行われることになった。クラシック音楽の本場、ドイツは1国としては最多の12の放送オーケストラが存在するが、公共放送改革の中で見直しの議論が起きている。ドイツのオーケストラの業界団体・労働団体は、この動きに反対する声明を出している。
  • 佐藤 紘子
    2024 年 74 巻 4 号 p. 58-61
    発行日: 2024/04/01
    公開日: 2024/04/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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