本稿は、NHK放送文化研究所のホームページで連載している「調査報告 ジャーナリストたちの現場から」の第7・8回(前後編)に一部加筆・修正を加え再録したものです。
メディア環境が著しく変化する中、健全な民主主義を支えるために、ジャーナリストやメディア組織は、自らの変えるべき部分をどう変革し、守るべき部分をどう維持するべきなのか。連載では、国内の主にマスメディアが発信するニュースや番組の取材・制作現場に目を向け、ジャーナリズムの現在形と将来を模索する姿を伝えています。
今回はTBSラジオの記者であり、アーカイブ整備も担当している崎山敏也さんの実践に注目しました。崎山さんは約30年にわたり、過去の音源を取り入れた番組を積極的に手がけてきました。ジャーナリズムの現場で、アーカイブの活用を続けてきたジャーナリストの1人です。
社会的出来事は一般に、時間の経過やメディア側の事情で細部の複雑な事情が削られ、特定のイメージを帯びたうえで、「固定化された記憶」として人々に想い起こされるようになってしまいます。
崎山さんは、こうした現象にあらがおうと、番組で過去音源を活用しているといいます。なぜ、あらがう必要性を感じているのか。崎山さんの実践の意義や課題を考えてみました。
※本文の登場者の所属は、2024年7月時点のものです。
抄録全体を表示