放送研究と調査
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最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 国際比較調査『ロイター・デジタルニュースリポート』から
    税所 玲子
    2024 年 74 巻 12 号 p. 2-25
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2024/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、イギリスのオックスフォード大学にあるロイター・ジャーナリズム研究所が行う国際比較調査『ロイター・デジタルニュースリポート』の2024年の調査から、日本市場の結果に焦点をあてたシリーズの第1回である。生成AIの誕生や偽情報・誤情報の広がりで、情報の信頼が問われていることから、本稿ではニュースへの「信頼」や「関心」を軸に分析を行い、読者・視聴者が、報道機関に何を求め、何が足りないのかを探った。 本調査では、これまで日本の「ニュースへの信頼」は横ばいで推移している。しかし、この数値を細かく分析してみると、年層によってばらつきがあり、「政治への関心」の有無によってその度合いが低下していることがうかがえた。さらに調査でニュースを信頼するために必要な要素は何かを尋ねたところ、日本は、「偏見がない」ことに重きを置かれ、この項目でも「政治への関心」の度合いによる影響がうかがえた。また、世界で問題となっている「ニュース回避」は、日本は増加の傾向はみられなかった。しかし「ニュースへの関心」は、すべての年層で低下傾向が見られ、静かにニュース離れが進んでいる様子がうかがえる。
  • 文研フォーラム2024の議論から考える
    中山 準之助, 中丸 憲一
    2024 年 74 巻 12 号 p. 26-55
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2024/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2024年5月23日に行われた文研フォーラムの「プログラムA」。津波防災と避難行動の研究において,日本を代表する専門家2人をゲストに招き,防災情報の伝達の課題などについて議論した。 プログラムでは,▼同年1月に発生した能登半島地震でNHKアナウンサーが初めて運用した「命を守る呼びかけ」の多角的な検証や,▼迅速な避難につなげるために欠かせない防災教育の進め方,それにメディアがどう関与するかなどについて,ゲストの専門家が実際に行っているフィールドワークの事例も紹介しながら意見交換を行った。 この文研フォーラムから約3か月後の2024年8月には南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」が初めて発表され,防災情報は新たなステージに入ったと言える。また,2025年1月には阪神・淡路大震災から30年,同年3月には放送開始100年を迎える。この大事な節目に,「プログラムA」の議論で提示された「呼びかけの不断の見直しの必要性」や「防災教育の充実へのメディアの寄与」は,メディアが今後,防災情報の発信をどう進化させていくかを考えるうえで,重要な示唆を与えてくれている。
  • 渡辺 健策
    2024 年 74 巻 12 号 p. 56-75
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2024/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2024年夏、日本では、観測史上最も高い気温を観測した所が144地点に上った。世界の平均気温が過去最高となった前の年に続き、過酷な暑さが人びとの暮らしを襲い、熱中症や豪雨で生命を奪われる被害が各地で相次いだ。世界各地でも大雨による洪水や熱波、干ばつなどの異常現象が頻発し、気候変動はいまや人類最大の脅威ともいわれている。 深刻化する気候変動の危機にメディアはどう向き合うべきなのか。本稿では、悪化の一途をたどる現状に危機感を抱く気象予報士たちが、メディアの受け手に対し、意識変革を促す発信をしていこうとする新たな試みを前半で伝える。 また後半では、同じく強い危機感を持って、温室効果ガスの排出削減策の主要な柱となる再生可能エネルギーを地域主導で導入する動きについて継続的に取材・発信している1人のジャーナリストの活動について伝える。その取材活動から見えてきたのは、過疎化や人口減少など地域固有の課題と地球規模の気候変動の課題を同時に解決するエネルギーの“地産地消”の効果だ。 メディアに関わる人びとの危機意識の共有と課題解決を模索する取り組みについて報告する。
  • 荒牧 央, 福田 葉月, 萩原 潤治
    2024 年 74 巻 12 号 p. 76-100
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2024/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2017年に続き、住民基本台帳からの無作為抽出によるミックスモード方式の実験調査を実施し、将来の実用化に向けた検証を行った。回答方式は前回と同様、最初にWEBでの回答を依頼し、補完的に郵送回答を使用する「WEB先行の逐次混合方式」である。今回は前回対象外だった60代も調査対象に含めた。 実験調査の結果、ミックスモードの採用によっても有効率の向上にはつながらず、若年層の有効率も改善しなかった。ただし、郵送調査に近い水準の有効率は確保でき、60代でも調査が可能であることがわかった。 また、ミックスモードの有効サンプル構成は郵送調査に近似しており、回答分布も一部の質問を除いて郵送調査とほとんど差がなかった。 今回は有効回答の9割がWEB回答であり、前回よりさらに高くなっている。60代までであればミックスモード方式の調査は比較的受け入れられやすい方式だといえるだろう。
  • 音で想い起こす記憶の形
    東山 浩太
    2024 年 74 巻 12 号 p. 102-119
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2024/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、NHK放送文化研究所のホームページで連載している「調査報告 ジャーナリストたちの現場から」の第7・8回(前後編)に一部加筆・修正を加え再録したものです。 メディア環境が著しく変化する中、健全な民主主義を支えるために、ジャーナリストやメディア組織は、自らの変えるべき部分をどう変革し、守るべき部分をどう維持するべきなのか。連載では、国内の主にマスメディアが発信するニュースや番組の取材・制作現場に目を向け、ジャーナリズムの現在形と将来を模索する姿を伝えています。 今回はTBSラジオの記者であり、アーカイブ整備も担当している崎山敏也さんの実践に注目しました。崎山さんは約30年にわたり、過去の音源を取り入れた番組を積極的に手がけてきました。ジャーナリズムの現場で、アーカイブの活用を続けてきたジャーナリストの1人です。 社会的出来事は一般に、時間の経過やメディア側の事情で細部の複雑な事情が削られ、特定のイメージを帯びたうえで、「固定化された記憶」として人々に想い起こされるようになってしまいます。 崎山さんは、こうした現象にあらがおうと、番組で過去音源を活用しているといいます。なぜ、あらがう必要性を感じているのか。崎山さんの実践の意義や課題を考えてみました。 ※本文の登場者の所属は、2024年7月時点のものです。
  • 『NHK 紅白歌合戦』を題材として
    中村 正敏
    2024 年 74 巻 12 号 p. 120-121
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2024/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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