抄録
気候変動に関わる報道は異常気象や災害に限らない。身近な暮らしに始まり、政治、経済、社会、文化やスポーツなど、あらゆる分野にまたがり、1人の専門記者や取材班では対応が追いつかない。国や地域の実情にあわせた取り上げ方と同時に、地理や時間軸を超えた検証も必要になる。人々に身近な問題であることを示し、関心と理解、信頼を得られるように伝えるためにも、縦割りや組織の枠にとらわれないジャーナリストや専門家の連携が欠かせない。そうした認識が、近年、世界各地で気候変動の報道連携につながっている。
本稿では、アメリカやイギリスを拠点とする国際的な報道連携のネットワークが、どのように知見を共有し、気候危機の報道を増やし、幅を広げようとしているか、その活動や実績について報告する。また、国際的な連携ネットワークの1つ、Covering Climate Nowの共同創始者で国際環境ジャーナリストのマーク・ハーツガード氏の問題提起を含むインタビューを掲載する。気候危機は社会に「多くある問題の1つ」ではなく、いま最も優先すべき課題であり、人々が「いま行動すればまだ間に合う」と伝える責任がジャーナリストにはあると同氏は述べている。