抄録
近年、メディアにおける「AIアナウンサー」の運用が拡大している。技術的な進展が著しい一方で、AIアナウンサーに焦点をあてた研究は少なく、その実態を調査し、整理することは、今後の動向を考察するうえで有用であると考えられる。ただし、技術面を含む詳細な情報は限られており、全体像を把握するのは容易ではない。
本稿では、国内外の報道などから得られた情報をもとに、AIアナウンサーの「役割」に着目し、人間の関与の程度に応じて3つの類型に整理した。(A)人間が作成した原稿をAIが読み上げるタイプ、(B)データをもとに原稿を自動作成し、AIが読み上げるタイプ、そして、(C)AIが“自律的”に発話内容を考え、対話などを行うタイプ、である。
その結果、現時点ではAタイプが多く運用されていると推測される。Bタイプも技術的に可能だがAタイプに比べると運用例は少なかった。一方で、Cタイプについては、技術的には可能性が示されているものの、メディアへの信頼性に影響を及ぼすリスクが顕在化した事例もあった。
今後、AIアナウンサーの運用は世界各地のメディアにおいて、さらに拡大することが予想されるが、導入にあたっては、メリットとリスクの両面を慎重に評価しバランスを図ることが求められるだろう。