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de Queirozの統合種概念について
直海 俊一郎
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2010 年 10 巻 1 号 p. 39-47

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抄録
de Queirozの統合種概念とは,一言で言えば,多様な現代的種概念(生物学的種概念,標徴種概念,単系統種概念,生態種概念,他)の共通要素(つまり,種をメタ個体群レベルの進化的リニージとみなす一般種概念)を種カテゴリーの定義とし,多様な現代的種概念の定義特性(生殖的隔離,標徴,単系統性,生態的明瞭性,他)を種の分化の検証に関連する一連の証拠(操作的規準)と'再解釈'する,研究枠組みである.多くの現代的種概念のもとでは,種は必ずしも単一のメタ個体群リニージではなく,複数のメタ個体群リニージから構成されることもありえるので,現代的種概念の共通要素とde Queirozが捉えた一般種概念は,実に不明瞭である.現代的種概念の明瞭な統合を達成するために,統合種概念の根本概念として,de Queirozが示した一般種概念(現代的種概念の共通要素)のかわりに,「種とは単一の進化的個体群リニージである」という進化種概念(Wiley,1978版)を位置づけたらよい.
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© 2010 日本植物分類学会
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