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原著論文
スミレ属無茎種コスミレとノジスミレの冬芽形成時期から開花期に かけての花器官の形態変化および春の閉鎖花とその由来
武田 眞一黒沢 高秀
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2017 年 17 巻 1 号 p. 25-41

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抄録

日本の温帯に生育する無茎種のコスミレとノジスミレ2種について冬芽内の花芽の詳細な発達過程を明らかにした.両種とも,冬芽内の鱗片葉の葉腋の外側から内側にかけて3つのタイプの花芽が観察された.(1)外側の鱗片葉葉腋の閉鎖花の花芽(越冬早春閉鎖花の花芽),(2)開放花の花芽,(3)開放花の花芽より内側の鱗片葉葉腋の閉鎖花の花芽(越冬春閉鎖花の花芽).越冬早春閉鎖花の冬芽内の花芽は積雪初日直前に,花弁と3本の雄ずいが痕跡程度か,全くないことで開放花の花芽と区別され,春の開放花開花時には結実した.越冬春閉鎖花の花芽は発達の初期には開放花の花芽と区別できなかったが,根雪終日直後までに花弁と雄ずいは多様な形態に退化した.このことから,コスミレとノジスミレには夏から秋にかけての閉鎖花を含めると,発達過程および出現時期と結実時期の異なる3タイプの閉鎖花が存在することが示唆された.温帯産のスミレ属は花期が一部重なる場合があるものの,基本的には早春から晩秋にかけて,最初開放花,次に閉鎖花という順番で季節的な生産をすると考えられてきたが,開放花と閉鎖花の生産期間やその発生過程は,これまで考えられていたよりかなり多様である可能性がある.

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© 2017 日本植物分類学会
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