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日本植物学会シンポジウム「種の数だけ種のあり方がある」の学問的枠組みを読み解く : 凝集的種概念・'種のあり方'・'種の実際'
直海 俊一郎
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2006 年 6 巻 1 号 p. 25-40

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抄録
村上・芹沢の「種の数だけ種のあり方がある」という研究プログラムは,独創的でかつ自然理解に役に立つ優れものである,と高く評価する.この研究プログラムは種の概念論的構造の明示化に役に立つ.また,種の実際の状況の研究・探索に啓発をもたらすばかりでなく,生物多様性の研究にとって意義深いものである.本稿では, Templeton (1989)の「凝集的種概念」を簡単に紹介し,その問題点([1]概念的構造における誤謬,および[2]生物学的実体と分類学的種の混同)を指摘した.村上・芹沢の研究プログラムの概念的枠組みを積極的に頑健なものにするために,彼らの理論内部にある2つの論理的誤謬([1]「種のあり方」と「種の認識]の混同,および, [2]種のあり方は,彼らの主張とは逆に,彼らの理論の文脈のなかにおいて特定されている点)をそのつぎに指摘した.最後に,「種の数だけ種のあり方(実際?)がある」という学問的枠組みの方向性にも簡単に触れた.
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© 2006 日本植物分類学会
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