MIQNEL が記載した日本のシダ類に Aspidium subtripinnatum MIQ. というものがある.これは BAKER が Nephrodium chinense BAK. の異名に下して以來今日までホソバノイタチシダと思はれてゐたが,1930年小泉博士はこれら二種類の區別を明にせられ N. chinense BAK. がホソバノイチシダであつて A. subtripumatum MIQ. はコキンマウヰノデであると唱へられ,ホソバノイタチシダの學名を Dryopteris chinensis KOIDZ. と改められたが,不幸にも A. subtripinnatum MIQ. を Aspidium Maximowiczianum MIQ. と混同してコキンマウヰノデの學名を Dryopteris Maximowicziana KOIDZ. と改められた爲に再び混亂が起つた.この A. Maximowiczianum MIQ. も日本のシダ類につけられたものでキヨズミヒメワラビのことである.このことはすでに1924年に CHRISTENSEN が注意してゐる.なほ臺灣のネバリヘゴ Alsophila snbglandulosa HANCE とオルドシダ Polypodium Oldhami BAK. とは共にコキンマウヰノデである.そこでコキンマウヰノデ,ホソバノイタチシダ,キヨズミヒメワラビの學名は次のやうになる.Dryopteris subtripinnata O. KUNTZE コキンマウヰノデ,カツマウヰノデ,モクバ,ネバリヘゴ,ミツセンヘゴ,オルドシダ 臺灣,琉球,九州(南部,西部),四國(土佐),本州(紀伊,安房) Dryopteris chinensis KOIDZ. ホソバノイタチシダ,ミサキカグマ 本州,四國,九州,朝鮮(南半),濟洲島 Dryopteris Maximowicziana C. CHR. キヨズミヒメワラビ,シラガシダ 本州(暖地),四國,九州