2001 年 51 巻 2 号 p. 177-186
マレーシア湿潤熱帯産のサトイモ科渓流沿い植物8属31種と陸上植物3種の核学的研究を行った。ほとんどの種が2倍体であった。サトイモ科渓流沿い植物は2倍体のレベルで渓流帯へ適応していったと考えられる。Schismatoglottis属には核型の異なる少なくとも2つのグループがあった。1つは最大の染色体が中部動原体型であるグループで、第2のグループはそれをもたないグループである。スキスマトグロティス連の他の層(Aridarum, Bucephalandra, Hottarum, Piptospatha)は核型の類似からマレー半島、またはボルネオに分布するSchismatoglottis属のいずれかの種から分化したと考えられる。スマトラ産のSchismatoglottis okadaeは第2のグループの核型をもち、ボルネオに分布するスキスマトグロティス連の他の属とは独立に、同様の核型をもつスマトラ産の種のいずれかから独立に渓流沿い植物に特殊化したものであろう。