分析化学
Print ISSN : 0525-1931
技術論文
多変量解析法による石油類の引火点の推定
奥山 修司三井 利幸
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2001 年 50 巻 3 号 p. 183-186

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抄録

従来から行われているJISによる石油類の引火点の測定は, 試料量を1回に50ml必要とし, 予期引火点を基に行っている. しかし, 法科学試料では試料量が少量であったり, 予期引火点などの情報はほとんど得られないことから, 引火点の測定が不可能であったり, 試料を浪費する場合もある. 一般に, 石油系液体の検査の場合には, まずガスクロマトグラフィー (GC) により試料の種類などを確認するため, GCの結果から引火点の推定が可能ならば, 少量の試料量で引火点の情報を得ることができる. 更にその温度を予期引火点としてJISによる測定を行うことが可能となり, 測定時間が短縮でき試料が最少量で測定できると考えられる. そこで, 本研究では, 灯油及び灯油と軽油の混合物について, GCで得られたクロマトグラムを数値化後, 多変量解析法により計算し, 引火点の推定の可能性について検討した. その結果, 引火点試験器による実測値に対し±2℃以内で一致した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2001
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