分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
超分子相互作用を活用した生体基質の認識と円二色性スペクトル法によるキラリティーセンシングへの展開
築部 浩西村 智子篠田 哲史
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2002 年 51 巻 6 号 p. 359-366

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抄録

生体基質の多くは, キラリティー (不斉構造) に基づいて特徴ある高次構造を構築し, 優れた生体機能を発揮している. これら生体基質のキラリティーを選択的にかつ効率的にセンシングすることは, 生体系の構造解析や機能解明だけでなく新規機能物質系の創製においても重要である. 本報では, 超分子相互作用の特性に注目して, 生体基質のキラリティーを検知・定量する円二色性 (CD) スペクトル法の新手法について概観する. 特に, アミノ酸両性イオンに代表される多官能性ポリイオンを標的基質として, 基質の複数部位と相補的な多重相互作用を行う超分子型レセプターや, キラル構造単位を集積した超分子集合体を活用したCD錯体化法に焦点をあて, 生体基質のキラリティーセンシングに関する最近の研究動向を, 著者らの具体例を示しながら論述する.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2002
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